インターネット落語会(第44回)
落語協会=2007.08.11配信(全生庵2007.08.05収録)
2007年8月中席(11日~20日) 落語協会感謝祭2007・奉納落語会(第一部)
◇春風亭柳朝「お菊の皿」
◇隅田川馬石「お初徳兵衛」
◇橘家圓蔵「死神」
馬石の「お初徳兵衛」が、本人も意気込んで出したというだけあって、とても良かった。ひところ“100%ピュアな純愛小説”と喧伝された幾つかの小説よりも数段にピュアな純愛物語を聴かせてもらった。「船徳」で御馴染みの、徳兵衛が船頭になるについてのお披露目の場での若い者が不始末を弁明する滑稽な部分はスッパリと端折って(因みに大師匠の馬生のCDにも、その師匠の志ん生のCDにもこの場面はある)、柳橋の船宿、大桟橋、山谷堀、首尾の松などを背景として舞台効果も満点にその物語を聴かしてくれた。この音源、なんとかPCに保存する手立てはないものだろうか。
圓蔵の「死神」、正直そんなに期待しなかったのだが、これも良かったですね。マクラでの兄弟子三平についてのエピソードに耳を傾けさせられて、そのまま本題も聴いたのだが、その「死神」もこれまで聴いたものとは若干違っていて、主人公が医者ではなく拝み屋なんですね。そして、サゲも死神がクシャミをして蝋燭が消える、というもの。その、他のものとは違うという物珍しさだけではなくて、テンポ、リズムが良くって、聴いていて気持ちが良かった。終わった後に、客席に、“どうでした”と聞いていたが、自身でも生涯の五席の一つに入る出来だと思ったのではなかろうか。
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