衛星落語招待席
衛星劇場=2005.03.14放映(2003.10.26収録)
月日の経つのは早いもので、こないだマッカーサーが来たと思ったら、もう文朝忌です。18日が命日でしたが、亡くなったと知った時の落胆はやはり大きかったですね。この一年、文朝の新しいCDは出なかったので、これまでに録画しておいた中から「茶の湯」を観る。平成15年10月26日に新宿末広亭で収録されたものだが、その末広亭にぴったりと馴染む文朝のその佇まい。出囃子『外記猿』に乗って出てくるその姿。この高座では、御馴染みのマクラ、“寄席には格言と言うものがありまして、それは何かってーと十月二十六日の客を大事にしろ。今日が偶然その日でございます。もっとも、客席には客席の言い伝えがありまして、十月二十六日に来た客は、その年、七回寄席に来ないと必ず祟りがある。”、そして“月日の経つのは早いもんですなぁ、こないだマッカーサーが来たと思ったら、あってぇ間にもう秋ですから。油断も隙もあったもんではございません。”を二つともに堪能できる。また、定吉が青黄粉と椋の皮を買ってくるところなんか、その場面転換が実に巧みですよね。この「茶の湯」、<極私的名盤十撰>でも挙げているけれど、やはり映像だと例のお茶を飲んだときの物凄い表情も観ることができて実に楽しい。客席からも絶え間ない幸せそうな笑い声。小三治が圓生の「茶の湯」を聴いても面白くもなんともないんだが、文朝のを聴くと面白いんだよなぁ、と何処かで言ってたのも頷けます。まぁ、無い物ねだりをしても詮無い事だけれど、こうして改めて高座を観ているとやはり喪失感を禁じえません。最近、権太楼が時折にこの文朝のマクラを使うのは、当初、パクってんのかとちょっと不快感がありましたが、あれは文朝へのトリビュートなんだろうと今は思っています。
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