カテゴリー「MAGAZINE」の3件の記事

2007.11.17

サライ(Vol.19 No.23)

小学館
『サライ』が<続・落語入門>と銘打って、また落語の特集を組んでいる。今回も、附録としてCDが付いていて、小三治の「千早振る」「うどん屋」、そして圓窓の「寿限無」が収録されているのだが、小三治の口演が絶品だ。「千早振る」は現在CDでは市販されていないのではなかろうか。また、「うどん屋」はキングから市販されているが収録日時が別で、味わいも違う。また、この二席は、さきにSONYから発売されたDVD全集にも収録されていないという。
「千早振る」は、平成5年4月10日の放送のものだそうだが、何といっても活力がある。笑いも弾む笑いである。昨今の小三治の高座、タップリととった“間”とかいうものが持て囃されているが、それは、ちょうど晩年のベームがモーツァルトの交響曲をウィーンフィルで振った時に言われた評のようでもある。中には、指揮者の意を呈して楽団が演奏しているという風なものまであった。しかし、それは“指揮”とはもはや言えないのではなかろうか。ところが、この「千早振る」は、ベートーヴェンの交響曲4番を振ったクライバーなのだ。実に素晴らしい!
「うどん屋」は、キングから出ているものがより緻密だとは思うが、リアリティという点では、今回の昭和57年12月23日放送の「うどん屋」に格段のものがあると思う。酔っ払いがミー坊から“さてこの度は”と言われたと語る場面は、まさに慟哭だ。この場面は、私も好きな場面で、どの盤を聴いても涙するのだが、この盤を聴いたときには、涙がとめどなく溢れてきた。一編の人情噺である。
750円の定価、このCD一枚で十二分に元が取れ、多額のオツリがくる。

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2007.02.26

東京かわら版(平成19年3月号)

東京かわら版
落語は、やはりブームみたいですね。『東京かわら版』の広告を見ても、メディア大手が遅れてはならじとばかりに、落語会を催します。ビクターが「ビクター落語会」を三田で、映像収録も兼ねて開きます。そして、共同通信社が、「東西若手落語家コンペティション2007」なるものを内幸町で開きます。また、文化放送と小学館とが共同で、既に浜松町での会を始めています。ブームのせいで、いろんな会が増えることは選択肢が増えて喜ばしいことなんですけれど、チケットが入手し難くなるというデメリットもあります。最近は、落語研究会なども当日券自体が残り少なくて、並んでも手に入らないことがあるそうです。三、四年前などは、私が早くに並んで待っていたら、係りの人が“そんなに早く並ばなくても大丈夫ですよ。早く並ばないといけないようになってくれればいいんですけどね”とこぼしていたものです。
今月号の巻頭インタビューは、談志です。先日のTVといい、メディアでの露出が最近多いと思うのは気のせいですかね。読んでの感想は、そのTVを観た時と変わりません。先代文楽が落語研究会で絶句して、途中で高座を降りた時の次の出番が談志だった、ということは初めて知りました。
渡邉阿Qさんのコラムは好きで必ず読むのですが、最近は輪番制になっていて少々物足りません。今回は、襲名のことに触れています。渡邉さんは小朝の名は出してはいませんが、やはり、巷で囁かれている小朝の志ん生襲名というウワサは、本当なのでしょうか?

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2007.02.02

サライ(Vol.19 No.4)

小学館
『サライ』が、<落語完全ガイド>と銘打って落語の大型特集を組んでいる。付録として、CDも付いている。その内容は、金馬「やかん」、小さん「長屋の花見」、松鶴「ひとり酒盛り」、そして、もう一つの特集が<般若心経>だから、その読経も。これまでも、『落語ワンダーランド』をはじめとして種々のMOOKが出ていて、それらのものと重複するところもあるのだが、それらがどちらかというと若者向けに編集されており、こちらは熟年向けに編集されているせいか馴染み易い。また、目次に<落語再入門>とも謳っているように改めて知ったこと、初めて知ったことなど幾つかある。たとえば、五街道雲助(格好いいです!)が写真入で解説している仕草、衣装などの項で、“太い縞の着物は滑稽噺向き、細い地味な縞は商人の噺の時に着る”ということなど。師匠の馬生に教わった事なども交えたその芸談は、なるほどと思わせる。
写真も豊富に載っているのだが、おそらく多くのものはこれまでもどこかで掲載されていたものだろうけれども、当方が初めて見るもので傑作だったのは、志ん生が長女の美津子さんに耳掃除をしてもらっている写真。志ん生の表情がとにかく面白い!大いに笑った。
これから、じっくり目を通すとしましょう。

*追記:米丸の、師匠今輔の思い出話は涙なしには読めません。

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