カテゴリー「ETC」の9件の記事

2009.05.30

志ん朝の「幾代餅」

雲助の「幾代餅」がとても良かったので、志ん朝のものも聴きたいと思ったのだが、市販されているCDには収録されていないんですね。DVDの演目一覧を見ても収録されていないようだ。まぁ、ソニーから出ているCDは、三百人劇場での『志ん朝の会』を主に収録しているのだから、その会の演目を『よってたかって古今亭志ん朝』の貴重な資料で調べると、「幾代餅」は口演されていないので、当然といえば当然かもしれない。
それではと、『ご存知古今東西噺家紳士録』で検索してみたら、昭和53年3月31日の落語研究会(第119回)、昭和55年12月29日の東横落語会(第240回)、そして、平成8年10月28日の紀伊國屋寄席(第382回)で各々1回口演している。他には、平成12年5月4日にTORII寄席、前述の『よってたかって古今亭志ん朝』によると、平成6年11月11日に大須演芸場で口演している。東京落語会三越落語会では口演していない。
ほかのホール落語会などで、もっと高座に掛けてはいるかもしれないが、ざっと調べただけでもあまり頻繁には掛けなかった演目と言ってもいいのではないだろうか。そう頻繁には掛けなかった理由というものを知りたいなと思うのだが、『志ん朝の走馬灯』のなかの「志ん朝七夜をめぐって」をさらっと読んでみても、「幾代餅」に触れている箇所はないようだ。京須さんは「幾代餅」を希望演目として志ん朝に言わなかったのだろうか?志ん朝の方からの予告演目になかったから、催促できる雰囲気ではなかったのだろうか?あるいは、志ん朝も京須さんも「幾代餅」が、それほど好きな演目ではなかったのだろうか?聞いてみたい質問だ。

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2009.01.10

芝浜

年末年始にかけて、「芝浜」の聴き比べをした。亭主の名前、拾った金額などが演者によって異なっている。瑣末なことかもしれないが、気になりだすと気になるもので、自分の備忘録として一覧表に纏めてみた(下記「芝浜」比較一覧表参照)。

「芝浜」比較一覧表

簡単なコメントを。
①=福茶、笹の音。陽気な高座。
②=亭主の名前が金というのは珍しい。財布を拾った翌年に生まれた坊やがいる。
③=やはり、鈴本での高座は素晴らしかった。財布を拾ってから三年後の大晦日に身篭っている。
④=財布を拾ったときに身篭っていた。
⑤=なんとも能弁な高座。今のさん喬のよう。
⑥=米屋も来ない。笹の音も聴こえない。無意味なマクラが長すぎる。
⑦=米屋ではなく薪屋。二歳の金坊。朝夕二度の河岸。
⑧=金を借りるのはおじさん。自分の足音を誰かに追いかけられていると勘違い。
⑨=予定されていた三木助の代演。
⑩=志ん生をほぼ踏襲。芝の浜の描写なし。米屋の番頭。
⑪=財布を拾って大家のほうから詰問される。女房も飲みたいと言う。
⑫=とにかく優しい亭主。声を荒げることはない。福茶、笹の音、なし。
⑬=福茶あり。若々しい馬生のスタジオ録音。
⑭=九代目。時代設定、明治。法律用語が出てくる。大晦日の風呂屋、混んでいない。
⑮=このCDでは、82両(小粒)となっているが、『古典落語 正蔵・三木助集』では、42両(二分金)となっている。

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2008.10.09

弟子

落語協会の芸人紹介を見ていたら、三遊亭歌る多にまた弟子が増えていた。三遊亭多ぼう。十月下席に前座としてデビューするらしい。多ぼうは、本名が谷口日麻だから多ぼうと名付けたのだろうか。
しかし、落語協会には多くの真打がいるのだが、そのうち弟子がいるのはほんの一握りの者だけだ。いろいろな事情、考えがあって取れない、取らない真打もいるだろうし、取りたいと思っても門を叩く人がいない者もいるかもしれない。そういう意味では、三人もの弟子がいる歌る多は、今の人気・実力を如実に顕しているといってもいいと思う。
最近の歌る多の高座は、ホント、素晴らしいものがある。先日、奉納落語会での「豊志賀の死」を畢生の名演と言ったのだが、あれは取り消します。まだまだ、これからももっと素晴らしい高座を見せてくれるものと期待していますから。

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2008.09.28

成田小僧

奉納落語会で聴いたこみちの「成田小僧」の出典が気になって調べていたら、『明治大正落語集成』というものがあり、そのなかに三代目三遊亭円遊の口演速記が載っていたので、それを読んでみると、『落語事典』に載っているものとほぼ同じだった。『落語事典』もこの『百家園』所載の円遊のものを基にしているのだろうか。さて、それでは、こみちの口演は何を基にしているのだろうと、さらに調べていたら『落語文庫』というものがあったのだが、これは『明治大正落語集成』と同じ講談社が刊行しているものだから、内容は同じものだろうと思いつつ読んでみると、さにあらず、お目当てのこみち口演のものと同内容だった。お目当てがみつかり嬉しくはなったのだが、残念なことにこの文庫、解説の類が一切載っていないので、誰のものを基にしたのか等のことは全くわからない。まぁ、それは、今後の楽しみとしましょう。
しかし、この『落語文庫』所載の「成田小僧」を読むと、またあの時の、こみちの可愛らしい御婆さんが目に浮かんでくる。インターネット落語会でも観たのだが、Yahooの動画にはアーカイブとして残ってはいないんですね。残念です。

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2008.01.12

福茶

今日は新宿へ行こうかと思っていたが、冷たい雨が降っているので断念。
することもなしに、先日、人形町の甘酒横丁にある森乃園というお茶屋さんの店先にあった福茶なるものを見つけて購入していたので飲んでみた。ある演者が甘くて美味くないようなことを言っていたので、あまり期待はしていなかったが、これが思いのほか美味。梅干の香りもほんのりとしてとても美味しく飲める。サッパリとした感じもなかなかいい。ひところ人形町に住んでいたという三木助を気取って“どーっでぇ”と言いながら飲む福茶は大変乙なものだった。そういえば、白魚が獲れたという大橋も人形町と水天宮との間あたりになるのだろうか。縁起物らしいので、今年からは、「芝浜」よろしく、大晦日から元日に架けて「芝浜」を聴きながら飲むとすることにしよう。

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2007.07.31

NW-A808

ここ二、三年検討中だったウォークマンをついに購入した。この機種を買ったのは、私のPCがVAIOであることから、既にsonicstage もインストール済みで多くの落語が録音されているからであるが、もう一つは、この機種に読み仮名変換機能が付いているということが大きかった。それで、早速、志ん生の『名演大全集』全137演目を取り込んでみた。素晴らしい。アルバムアーティストをイニシャルで検索できるのだが、ざっと見た限りではあるが、全137演目のうち判断できずに、“etc.”の項目に入ったのが、「搗屋幸兵衛」と「雪とん」。そして、変換を間違えているのが「黄金餅」で“”の項目に入っていた。これらは、入力されたときに間違って入力されたのだろうと思い、私が改めて入力しなおしたが、結果は同じだった。この辺は、sonicstageの編集のところでユーザーが訂正できるように改良して欲しいところだ。
また、この機種は、不要になった曲は機器本体では削除することができず、削除予定リストに登録しておいて、PCとUSBで接続した際に、これらの曲が自動的に削除されるようになっている。これが、数曲なら、リストに登録することもそう大変ではないのだが、多数の曲ともなるとかなり面倒。だから、アルバム、アーティストの単位でもリストに登録できるように改良して欲しいと思う。
しかしながら、概ね満足しています。私の場合、この137演目を64kbpsで取り込んで、約2.2Gだった。まだまだ充分に余裕があります。例の志ん五の「蜘蛛駕籠」も入れたが、ホント、これは電車の中では聴けないですね。
まぁ、こういう機器は、まだまだ若い人が購入の中心だろうから、メーカーのほうも、それをターゲットにして造るのだろうから、いろんな機能がそちら向けに考えられていると思う。しかし、これから、高齢者社会になって、今まで電車の中では専ら本を読んでいた方々も次第に読むのが億劫になってくるだろう。そうして、こういうもので落語なり、あるいは朗読された本なりを聞く向きが増えてくると思う。だから、メーカーもそういう方面へも配慮したモノ造りに励んで欲しいものだ。
余談ながら、この機種のアクセサリーの中ではクリアケースは必需品だなと思いました。

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2007.07.15

ぴあ

今日は、入手していた<大銀座落語祭2007>の馬生一門会へ出掛ける予定だったが生憎の台風による大雨に出鼻をくじかれ、夕方頃には晴れ間も見えたが、萎えた気持ちを再び奮い立たせることは出来ず、結局、断念した。もう一つの理由は、その指定席が後ろから二番目の列の右端あたりというなんとも結構な場所なのだ。こんな席だと第二部の鹿芝居などは、よく観えないだろうとも思ったのだ。このチケット、ぴあのオンラインで申し込んだのだが、先行販売だというのに、これはどうしたことだろうか。私もあせっていたので、座席を確認することもなく即申し込んだのだが、後で、調べてみるとこの座席。ぴあの販売は、一般販売よりもよい席としての先行販売と、一般販売の分とを初めから分けて販売するのではないのだろうか。とにかく、ぴあが持っている座席全てを先行販売として売ってから、その残りを一般販売として売るのだろうか(結果として、先行販売で売切れれば、一般販売はなし、ということになる)。もし、そうだとしたら、それは先行販売でもなんでもなく、我々ユーザーには何のメリットもないのではないだろうか。ただ、全体の販売の日にちを早めたというだけで、先行販売としての手数料が余分にかかるだけだ。ちょっと、阿漕に過ぎると思うのだが。
馬生一門の弟子たちが、師匠の思い出話を語るであろう、それを楽しみにしていたのだが…。どんな、会だったのでしょうかね。

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2007.04.22

噺家のブログ

落語協会の真打披露興行も終盤に差し掛かっている。私は、新真打がこの披露興行でどんなネタを掛けたか知りたいと思い、ネット上で調べているのだが、浅草、池袋はともに昼の部の興行なので、一般の方はなかなか足を運ぶ時間もないからか、ネットを賑わしているのは主に二つ目の噺家さんのブログばかりだ。そして、その内容はというと、打ち上げで何を食べたとか、何時まで呑んだとか、そして、舞台裏の写真とかいうものだ。たしかに、前座時代に世話になった先輩、苦労を共にした仲間が真打になったのを共に喜び、祝うのは当然のことだとは思う。しかし、この真打披露興行が始まる前に催された真打披露パーティーで、さん喬師匠が、最近は披露興行というものがお客さんへ向けて行なわれているのではなくて、仲間内の打ち上げのために行なわれている風がある、というような趣旨の苦言を呈されていたが、その言葉とは逆にますます仲間内のための披露興行となってはいないだろうか。私たちファンも、できれば自身のブログに口上の舞台の写真を記念に載せたいと思っているのだが、それは禁止されていて、噺家さんのブログには仲間内の写真が多く載っている。今後、寄席、協会はせめて口上の舞台の写真を撮ることを許可するようにサービスしてもらうことはできないものだろうか。ほんの一時の時間でいいのだから。

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2005.04.18

桂文朝師匠逝去

毎日新聞 2005年4月18日12時24分
訃報:
桂文朝さん63歳=落語家
 桂文朝さん63歳(かつら・ぶんちょう<本名・田上孝明=たがみ・たかあき>落語家)18日、がんのため死去。葬儀の日取りは未定。自宅は非公表。
 1970年に真打ち昇進。粋でいなせな江戸前の芸を得意とした。75年に文化庁芸術祭優秀賞を受賞。最後の高座は2月4日、東京・末広亭の「寄合酒」。

朝日新聞 2005年4月18日13時33分
落語家の桂文朝さん死去
 桂 文朝さん(かつら・ぶんちょう=落語家、本名田上孝明=たがみ・たかあき)は18日、がんで死去、63歳。葬儀の日取りは未定。連絡先は東京都台東区上野1の9の5の落語協会。
 東京都出身。52年に山遊亭金太郎(二代目桂小南)に入門。70年に真打ちに昇進して「文朝」。85年に落語芸術協会から落語協会に移籍し、昨年から同協会理事を務めていた。今年2月4日の東京・新宿「末広亭」での「寄合酒」が最後の高座となった。

落語協会 2005年4月18日
訃報 桂文朝逝去
当協会所属の桂文朝が、4月18日(月)午前1時5分、築地がんセンターにて、逝去しました。
桂文朝は、昭和17年3月31日、東京新宿生まれ。
昭和27年二代目桂小南に入門し、前座名山遊亭タア坊を名乗りました。
少年落語家として、一躍人気者になりました。
昭和30年山遊亭金時と改名、昭和34年桂小西で二ツ目昇進。
昭和45年真打に昇進し、桂文朝と改名しました。
昭和59年、落語芸術協会を退会し、翌年落語協会に入会。
昭和50年には、文化庁芸術祭優秀賞受賞。
昭和53年に、放送演芸大賞落語部門賞を受賞するなど、
本格派古典落語の名手として、いよいよ円熟の時を迎えていました。
享年63歳でした。
なお、通夜は20日(水)午後6時より7時
告別式は21日(木)正午より1時、いずれも
源寿院(葛飾区立石7-11-25)で執り行われます。
心から謹んでご冥福をお祈りいたします。

遅れてきた落語聴きとしての僕は、志ん朝の生の高座を観ることはできなかったが、文朝の高座を何度か観られたことは幸いだったと思う。「初天神」には、本当に笑わされた。“マッカアサー”とか“寄席の格言”などのマクラでのフレーズをもう聴けないと言うのは、本当に寂しい。かえすがえすも残念なのは、今年の2月18日のイイノホールでの東京落語会を、文朝をお目当てに行ったのだが、やはり、休演であった。予定されていた演目は「百年目」だった。この時に聴けていれば…。合掌。

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