カテゴリー「DVD」の8件の記事

2008.03.16

破廉恥

快楽亭ブラック=ローランズ・フィルム 「川柳の芝浜」「カラオケ寄席」「一発のオ○ンコ」
私は勇気がなくって、ブラックの高座をまだ生で観に行ったことがない。その憂さを晴らすべく、このDVDを観たのだが、何といっていいのか、もう言葉がありません。よく耳にする言葉に“落語を聴きに行くんじゃなくって、落語家を聴きに行く”というのがあるけれど、その最たるものがブラックかもしれない。特別映像の川上史津子さんとの対談を観ていると、ブラック、意外とシャイな人なんだなと思う。そのシャイな人が“オチョボ口”(立川流の噺家の言)で、次から次へと繰り出す禁止用語満載の落語が面白くないわけがない。
「川柳の芝浜」は、川柳川柳を良く知っている人には、堪らない一席だろう。テレビのリポータに川柳がなって、国民の声を代弁してその当該の人の家の前で大便をするという箇所は笑った。
「カラオケ寄席」では、念願の『涙の圓楽さん』を聴けました。そして、当代の大名跡の噺家を罵倒し、先代の師匠を懐かしがる人に“貴方はどちらからいらっしゃったんですか”と聞くと、その人が“宮城から”と答え、“どうりで、仙台を懐かしがる”というサゲもなかなか秀逸。
「一発のオ○ンコ」は、ジョークでもなんでもなく、ソープランドの店長が、三人で一発のオマンコを終えて店を出る親子三人の背中に掛ける“どーもありがとうございました。どうぞ、良いお年を”という声には万感迫るものがあり、涙を禁じえなかった。立派な人情噺である。
この三席の高座のどれか一つが、特に素晴らしい高座だというわけではないのだけれど、しかし、この三席が収められたこの一枚のDVDは、快楽亭ブラックという噺家を見事に体現した名盤だと言えると思う。このDVDを買った後に、レンタルもされていることを知ったのだが、買ったことには悔いはない。

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2007.03.27

桂米助 野球落語

桂米助=テイチク 「野球寝床」「最後の審判」
収録されている二席の演目は、これまでにTVでも放映されているので目新しいものではありませんが、やはりライブならではのマクラが楽しめました。ボビーや仰木など明るい監督はマジックと称されるが、野村や広岡など暗い監督は管理野球と称されるとか、また、イチローのドラマでの達者な役者振りから、長嶋さんも上手い演技をするが、ナボナの王さんは、どうにもいただけない、やはり王さんはキッチリと型から入るようだ、だから古典落語をやったら凄いのではないか、ということ等々。お客もよく反応するお客さん。お江戸日本橋亭、まだ入ったことがなくて、初めてその様子を観ましたが、アット・ホームな雰囲気ですね。
この<野球落語>、この後も(2)(3)とリリースされています。この巻には(1)という巻数は明記されていないので、あるいは売れ行き好調のため、急遽続巻のリリースも決まったのかしら。米助人気、恐るべし。
画質は、とても良いと思います。

*DVDといえば、以前にもちょっと触れた小三治のDVD全集、HMVの情報によると、もう既に予約を締め切って、7月に発売するようですね。しかし、その演目の詳細も告知しないまま販売するとは、小三治の人気、サスガといえばサスガですがね。私は購入を逡巡する前に情報のみが通り過ぎたという感じです。

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2007.03.07

五代目柳家小さん落語傑作選(其の十)

柳家小さん=NHKソフトウェア 「八五郎出世」「たぬき」
わが街の図書館にも、最近、DVDが資料として備えられるようになった。おかげで、このような落語関連のDVDも観られるようになった事はありがたいことである。ただ、ソフトは次第に充実されても、その資料のデータが十全でないので検索するのに余分な手間がかかる。ただ入力していればいいだろう、というようなデータなのである。利用者の便は全く考慮されていない、という代物である。
さて、愚痴はこれくらいにして、この小さんのDVD全10巻もこれで全部観たことになる。そして、少しずつ小さんが面白くなってきた。この巻に収められた「たぬき」などは、その最たるもので、狸の声などは、今まで聴いた噺家のどれよりも素晴らしく、なるほど、狸が声を発したらきっとあのように発するであろうと納得されるものなのである。自身の言う“狸の了見になれ”が如実に体現されたものだと感服した次第。この「たぬき」、通常、よく耳にする「狸の札」と珍しい「狸の鯉」が入っている。「狸の鯉」は初めて聴くので、まさに僥倖である。なお、「狸の札」と「狸の鯉」の間に、蕎麦屋に十銭の勘定を払う場面も挿入されていた。もう一席の「八五郎出世」は、八五郎が、殿様から普通に話してよいと言われて普通に殿様に語り終えるまで。両方とも、『夜の指定席』という番組で放送されたもので、「八五郎出世」が約25分、「たぬき」が約35分。時間と演目からして、「たぬき」が中身の濃いものになったのも頷ける。
このシリーズ、一巻の収録時間が大体60分未満。二巻分を一巻にまとめられる長さだ。無理に10巻のシリーズにしているようで、消費者には困ったことではある。そして、NHKは概して、その放送日時と放送した番組をパッケージに記載するようだが、我々が欲しい情報は、収録場所とその日時だと思うが、如何なものでしょうか?
このシリーズの九巻目に収録されている「御慶」、これもなかなか結構なものだが、これが収録された場所はどこであろうか?畳の席なのだが、改築される前の池袋演芸場だろうか?御存知の方、どうぞ御教示下さい。

↓第九巻「御慶」
Memory01

*HMVの情報に『落語研究会:柳家小三治全集』と題したDVD全10巻のセットがソニーからリリース(2007.06.27)される旨があったが、これは小三治の落語研究会での高座を映像化したものなのだろうか。だとしたら、楽しみである。そして、続いて志ん朝のものもリリースして欲しいものである。

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2007.01.28

ワザオギ落語会(vol.1)

圓丈、喬太郎、市馬、桃太郎、白酒=ワザオギ
国立演芸場 2006年6月17日(土)収録
 ◇桃月庵白酒 「壺算」
 ◇昔昔亭桃太郎 「結婚相談所」
 ◇柳亭市馬 「七段目」
 ◇柳家喬太郎 「一日署長」
 ◇三遊亭圓丈 「夢一夜」
白酒の「壺算」は、何度か生で聴いているし、桃太郎の「結婚相談所」もCDで聴いているし、とも思ったが、このDVD、買って正解でした。なにより、袖で出を待つ演者の様子も収められており、特典映像では楽屋での様子がタップリと収録されている。これが、面白かった。高座へ向かう前に袖で、手拭に何か文字(人?)を扇子で書いてそれを飲み込む喬太郎。前座に湯飲みは出ているかと確認する桃太郎(絶対必要な湯飲みなんですね。しかし、桃太郎はおっかなそう。みんなピリピリしている)。DVD収録のため光量が多くなっている高座で汗をかきすぎると、客が引いてしまうと心配する白酒。終わってから下座、前座にも腰を低くして挨拶しながら袖に引っ込む市馬。自分の前に演った喬太郎が大いに受けていたので、やりにくそうに高座へと向かう圓丈。また、喬太郎、市馬は、鉦も叩いていた。楽屋の様子も面白い。解説で大友さんも書いているが、あまり和気藹々という風ではないのだ。特に、圓丈と桃太郎は、かなり長い特典映像の中で一言も言葉を交わしてはいないのではなかろうか?桃太郎が自身のサイトで、(この日の圓丈が)終わってからあまり受けなかったとぼやいていたが受けようが受けまいがそんなことはいいじゃないか、というようなことを書いていた。この御両人、あまりソリがあわないのだろうか?
勿論、噺自体も面白かった!喬太郎の『東京ホテトル音頭』『東京イメクラ音頭』も聴けたし、市馬の絶品の正蔵の物真似も聴けたし、桃太郎のくだらないシャレは映像を観ながら聴くとまた笑えるし、初めて聴く圓丈の噺も出だしは硬かったが、徐々に調子が上がって面白く聴けた。それに、太田そのさんの御顔も観ることができました。4,800円、充分に元は取れました。

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2006.05.19

古典落語名作選・其の三

NHKソフトウェア
 ◇三遊亭金馬 「薮入り」(昭和36年2月4日放送)
 ◇三遊亭圓遊 「浮世床」(昭和53年7月14日放送)
 ◇林家正蔵 「中村仲蔵」(昭和51年5月1日放送)
 ◇桂歌丸 「お化け長屋」(平成元年6月23日放送)
古い映像ですが、金馬について、例えば矢野誠一さんなどが言っていることが、納得できる映像だと思います。
圓遊は、うん、なんというか、やはり、ちらほらと出てくる言葉に、古さを感じさせます。
正蔵の「中村仲蔵」、CDで音声のみで聴いてたものが、映像も観られて幸いでした。
歌丸も、お若い!でも、平成元年だから、そんなに昔と言うわけでもないのですが。

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2006.05.18

古典落語名作選・其の二

NHKソフトウェア
 ◇三遊亭圓生 「八五郎出世」(昭和49年1月5日放送)
 ◇三笑亭可楽 「今戸焼」(昭和39年7月26日放送)
 ◇三遊亭圓歌 「品川心中」(平成2年11月17日放送)
 ◇入船亭扇橋 「ねずみ」(昭和54年1月12日放送)
偶々、図書館にありました。其の四、其の五は所有しているのですが。
圓生の収録は、末広亭か?正月五日の放送となっているが、収録はいつだろう?客席には日本髪に結って、和服を着た華やかな若い女性がチラホラ。圓生の高座、観ていると、幾つかの儀式があるみたいですね。右手で頭を掻いて、懐から手拭を出して口を拭い、絡んだタンを懐紙に出し、おもむろにお茶を飲む。噺のほうは、八五郎がお袋を不憫に思い泣くところは、圓生自身も泣いているかのよう。
可楽の、いわゆる“苦虫を噛み潰したような顔”を観る事ができました。「今戸焼」って、馬生なんかが演るのとまた違うんですね。
圓歌、まだ、この頃も、吃音、残ってるのか、と思わせるところあり。
扇橋、いや、お若い!というか、格好いい!イナセ!しかし、口調は、今を思わせるものがあります。

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2006.03.29

落語笑笑散歩(第一巻)

柳家喬太郎/入船亭扇辰=ソニー
◎本編映像
 お江戸下町ぶらり散歩
◎特典映像(2005.09.23池袋演芸場<扇辰・喬太郎の会>収録)
 柳家喬太郎 「粗忽長屋」
 入船亭扇辰 「目黒のさんま」
 柳家喬太郎 「時そば」
特典映像となっているので、まさかダイジェストで収録されていないだろうかと危惧したが、キッチリと収録されていた。
喬太郎の「粗忽長屋」、例のごとく、噺の途中に注釈と言うか説明と言うか、脱線しながら進むのだが、これが面白いのですね。喬太郎の場合。
「時そば」、自分でも“この蕎麦を食べるところはDVDに残したくない、仲間に見られたくない”などと言っているが、確かにそれほど巧みではないね。単調でした。それに比べて昨日のさん喬の「時そば」、その上手いことと言ったら!蕎麦が本当に旨そうだった!うしろにいた御婦人連も仲入に“蕎麦を食べたくなった、お腹が減った”と言っていた。
扇辰の「目黒のさんま」、型を外しすぎじゃないのか?
本編の映像もなかなか楽しめました。冒頭、末広亭の楽屋も見られたし、高座から客席を見るという貴重な映像もあったし。
買って損はなかったと思います。勿論、も少し安ければそれに越したことはないけれども。

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2006.03.06

決定版五代目柳家小さん落語名演集

柳家小さん=竹書房 「千早振る」「宿屋の仇討」
DISCASに注文したのは『柳家小さん落語名人集「睨み返し」「意地くらべ」』なんだけど、先方のミスでこのDVDが到着。何度か聴いた演目だけれども、まぁ、とりあえず観るとしよう。観客なしで、末広亭を模したような高座で収録。どこかのスタジオなのかな?笑いも拍手も一切なし。
小さんの噺はボソボソといった感じで聴き始めは面白くない、判らない、しかし、何度か聴いてその良さが判る、と小三治もどこかで言ってたけれど、遅れてきた落語聴きたる当方は、それも止むなしというところかな。クスグリもまったく入ってないしねぇ。おそらく、小さんの芸を後世に正しく残そうという意図なんだろう。
構成・監修が、落語三遊派宗家・藤浦敦となっていた。そういう人がいたんだ。初めて知った。
けれども、このタイトル、もっと短くなんないのかなぁ。

*調べてみると、収録は日活撮影所で行われたらしい。

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