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2010.09.24

鈴本演芸場九月下席

◎真打昇進襲名披露興行
◆会場=鈴本演芸場
◆日時=2010年9月24日(金)17:20開演
  △古今亭半輔 「のめる」
  ◇桂才紫 「たらちね」
  ◇翁家和楽社中 太神楽曲芸
  ◇三遊亭歌武蔵 漫談
  ◇入船亭扇辰 「道具屋」
  ◇三遊亭小円歌 三味線漫談
  ◇鈴々舎馬風 漫談
  ◇林家正蔵 「鼓ヶ滝」
  ◇五街道雲助 「ざる屋」
 仲入
  ◇口上(正蔵、龍玉、雲助、馬風)
  ◇昭和のいる・こいる 漫才
  ◇古今亭菊之丞 「元犬」
  ◇林家正楽 紙切
  ◇蜃気楼龍玉 「妾馬」

白酒馬石のそれぞれの真打昇進襲名披露興行に続いて、龍玉の真打昇進襲名披露興行を観ることができたという、雲助一門の一ファンとして喜ばしいものがあります。
半輔、初めて。なかなか威勢がいい。ただ、威勢がよすぎて現代のお兄ちゃんたちが喋り捲っている風。しかし、前座で「のめる」を聴くのも珍しく思う。
才紫、ちょうど五年前の九月、白酒の真打昇進の時にこの鈴本で初めて聴いているのだが、その時は、なんだか可愛らしいなという印象だったのだけれど、今日観た四度目の才紫は、もうプロの噺家の印象でした。口跡もよくって、出の時の左腕を水平に伸ばしながら高座に着く姿も絵になります。口調が、ちょっと当代の文楽に似てるなと感じたのだが、幾つか教わったことがあるのかしら。
和楽小楽和助。和助の土瓶回し、御見事! しかし、小花も観たかった。
歌武蔵、元宿敵貴闘力の家庭の事情。しかし、歌武蔵のこの漫談ももう立派な芸です。
扇辰の与太郎は、私はやはり身が引けます。「厄払い」「道具屋」はどうもいただけない。
小円歌、今日も往年の名人の出囃子を聞かせてくれる。志ん朝文楽志ん生など。最後にかっぽれをひと踊り。着物の裾が乱れて見えるおみ足がなんとも悩ましい。馬風がよろめくのも宜なるかな!
馬風、小円歌が座った後の座布団にはその温もりが残っている、役得だなどと言いながら高座に着く。
正蔵、前座が正蔵のメクリを出すのに手間取る。一度出てきた正蔵、まだメクリが出ていないので一旦引っ込んで自分でメクリを抱えて出てくる。口上の時に、真打になるということは、なかなかメクリを出してもらえないという試練にも耐えなければならないと言っていた。正蔵の「鼓ヶ滝」、聴くのは二度目だが、今回、ユーモラスな雰囲気がより出ていて、とても良かったと思う。
雲助、見事に、白酒のときも、そして馬石のときにも、この「ざる屋」を演る! そして、ネットで調べてみると、この芝居、他の日にも「ざる屋」を掛けている様子。しかし、また、これが聴けば聴くほど面白くなるんだな!
口上。正蔵、龍玉、雲助、馬風。前日、落語協会の本日の寄席を見たら、口上に並ぶと思われる顔ぶれが少ないので、菊之丞が司会でもやるのかと想ったら、正蔵が司会だった。それではちょっと人数的に寂しいような気がした。小三治も何年も前から予定が決まっているのだろうからなかなか難しいのだろうけれども、もちょっと口上に並ぶ回数を増やすようにしてもらいたかったですね。しかしながら、雲助の口上は、それを補って余りある素晴らしい内容のものだった。“これは酒の上でのしくじりも幾つかあったが、自分もそうであったこともあったので、幾分大目に見てきた”“これと二人で二人会をやると、私にそっくりなので、雲助の一人会などとよく言われた”などなど。しかし、意図せずとも自分ソックリに真似てくれる弟子はやはり可愛いだろう。“若竹は…”の句は、白酒のときにも披露していた。雲助の自作かしら。
菊之丞、自分は前座からずっとこの名前なので、龍玉が名前を三つも持つから羨ましいと言っていたが、厳密には駒七も名乗っていたから四回ということになる。龍玉の贔屓筋からクレームの野次が飛ぶかとヒヤヒヤしていたが、そういうこともなかった。
正楽、相合傘、弁慶、蜃気楼、披露興行。
龍玉、雲助の口上での“どうか出の時と、終わった時には盛大な拍手を御願いします”との言葉もあり、拍手がなかなか鳴り止まず。それをようやく制して噺に入ったが、細かいことを言えば二、三はあろうかもしれないけれど、全体として大器の風情を感じた。白酒とも馬石ともまた違う噺家として大きくなるんではないだろうか。師匠譲りの「子別れ」を、そして円朝ものをこれから楽しみにしています。噺が終わると、これもまた万雷の拍手の中、師匠同様、また兄弟子同様、高座を外して挨拶をしていた。

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