黒門亭(四月第二週)
◆会場=落語協会
◆日時=2010年4月11日(日)15:00開演
△柳家小んぶ 「子ほめ」
◇隅田川馬石 「四段目」
◇柳家喬太郎 「幇間腹」
◇柳亭小燕枝 「百年目」
今日は、本来、獅堂、馬石、小燕枝の順で登場する予定だった。しかし、前座の後に馬石が登場。馬石によると、獅堂が来ないとのことで、馬石が先に上がり、この後には、驚きの人が上がる(そういう意味のこと)と言ったのだ。そして、その驚きの人とは、なんと喬太郎だった!
今日の私のお目当ては、小燕枝の「百年目」、そして馬石、そして未見の獅堂を是非観てみたいとやって来たのだが、まさか、喬太郎を観ることができるとは!
開演時刻を5分程過ぎても始まらなかったのは、こういうアクシデントがあったからなのですね。
なお、今日はたん丈が番頭をしておりました。
小んぶ、これまでに二回観ています。しかし、記憶になかった。なにかしら、原石のようにも思えます。屏風の裏に寝ているのは祖母さんですね。そして、買い物に行っているのは祖父さんです。これまで主に聴いたのは逆だったように思います。下座さん、出囃子を間違えていました。
馬石の「四段目」、初めて。歌舞伎の四段目をまた観たくなりました。録画しておいた、勘三郎の判官で観ましょう。馬石、石堂右馬之丞は、石と馬とが付いているから、良いのだ、と言っていました。
喬太郎、出てくるなり、客席から、オォッ!というどよめきの声。そして、万雷の拍手。マクラで、“獅堂は、円盤に浚われた“と言い、“小燕枝師匠の邪魔にならぬよう、軽く演る”と言っていましたが、どうしてどうして、存分に楽しませてくれました。猫の形態の絶妙な事! 猫が若旦那に捕まる時には、高座の上に腹這いになるという熱演を見せてもくれました。そして、皺の寄った赤い毛氈を直していました。
小燕枝の、「百年目」、絶品でした。広瀬氏が忌み嫌っているまさに“本寸法”の落語でした(広瀬氏は自身が記事にする、今売れっ子の若手噺家を強調したいがために、それに対峙するものとしての“本寸法”の落語を、戦略的に貶めているように思えるのです)。落語の醍醐味を十二分に味あわせてもらいました。雲助の「百年目」も良かったけれど、番頭の渋みというか、なんともいえない味が高座に横溢していました。小燕枝の「百年目」、微妙に他と違う所があるのです。例えば、番頭の名前が治兵衛ではなく卯兵衛だったり、そして、なかなか寝付かれずにトロトロとした時に見た夢(定吉に、二階から突き落とされたり、刺されたり、というもの)、そしてまた、店に戻った旦那が玄白に、細かい借りを返すから店に寄れと言うが、玄白が用があるからというので、それでは明日返すことにしよう、という事(圓生の口演では、旦那のほうから先に明日返すからという)等。そして、その最たるものは、番頭が、旦那が呼んでいますという定吉の両手を取って、“立派な商人(あきんど)に成ってくれよ”というところ。これは、最高に笑いました。派手な演出は全くないのだけれど、そういう口演以上に3D映像を観るかのように享楽しました。
しかし、獅堂の高座も観たかったですね。残念。
追記:コイハモウモク、ツジウラヂャヤさんによると、喬太郎は、鈴本の出番が終わって速攻で着物のまま黒門亭へ走ってきたそうだ。御苦労様です!
コイハモウモク、ツジウラヂャヤ様、有難うございます。
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