鈴本演芸場三月下席
◎真打昇進襲名披露興行
◆会場=鈴本演芸場
◆日時=2010年3月24日(水)17:20開演
◇三遊亭金兵衛 「寿限無」
◇桂扇生 「一目上り」
◇ロケット団 漫才
◇桃月庵白酒 「ざる屋」
◇古今亭菊之丞 「転失気」
◇鏡仙三郎社中 太神楽曲芸
◇柳家権太楼 「町内の若い衆」
◇桂文生 「桃太郎」
◇鈴々舎馬風 漫談
仲入
◇口上(権太楼、圓蔵、文雀、文生、馬風)
◇昭和のいる・こいる 漫才
◇橘家圓蔵 「大山家の人々」
◇柳亭市馬 「道具屋」
◇林家正楽 紙切(相合傘、真打昇進披露、招き寅、雀の学校)
◇桂文雀 「御神酒徳利」
雨が降りしきる天気で、しかも平日ということもあり、開場時には50人ほどの入か? しかしながら、この日の客席からはよく笑いが起こり、しかも、的確な笑いであった。演者もとても演りやすい様子で、高座を終えて袖に下がる時の表情は、いずれの演者も笑みを浮かべ、しごく満足そうであった。最終的には、この雨の中、七割ほどは入ったかと思う。
金兵衛、初めて。大人の風格。
扇生、少し痩せたか? 白髪も増えた様子。扇生は、二枚目過ぎて険がある。その扇生が直截に来るので、軽い噺も気楽に聴けない感じがするのです。
ロケット団、最近、TVでもよく観るが、同じ内容でも、やはり、寄席で聴くと違いますね。
白酒、この芝居でも、この『ざる屋』をよくかけているようだが、面白いですね。また、面白い筈です。本人によると一時期、この噺が面白くて、頻繁に演ったそうです(『この落語家に訊け!』)。縁起のいい噺でもあるから、こういう目出度い芝居には持って来いですね。マクラの面白さは、言わずもがな。
菊之丞も笑わせてくれました。同じ前座噺でも、白酒、菊之丞にある気楽に聴ける雰囲気、これが扇生には足りないと思うのです。
権太楼、この日もマクラで“マッカーサーが来たと思ったら…”を言っていたが、これは、やはり文朝のイメージがまだ強いので、他の人では聴きたくない気分です。
文生の『桃太郎』も、人柄がよく出た楽しい高座。
馬風、眼鏡をかけていました。
口上では、文雀の遠回りのこととか、文雀の人の良さとか、語られていました。やはり、文生も、南喬、文朝とともに芸協から落協へ移る際に種々苦労もあったようで、そういうことから、文雀を引き取ったということもあるのかもしれない。文生もいい人なのだと思う。
圓蔵、口上でも言っていたが、文雀という名は、先代圓蔵が名乗っていた名で、自分が欲しいと思っていた、ということをマクラで話していた。文雀によると、襲名を文生と共にお願いに行くと圓蔵は、快く承諾してくれ、その翌日には、横浜にある先代の墓参りに行ってくれたそうだ(『東京かわら版』)。いい話です。
市馬、マクラで、“ああ、自分にもこういう時があったなぁ”と感慨深げに話していました。
正楽、今日もお見事でした。しかし、お題に応じて紙を選んでいることは初めて知りました。
文雀。ミッチリと大ネタ『御神酒徳利』を演ってくれました。破綻もなく、しっかりと聴かせてくれました。文雀は、口上で、いい男だと持て囃されていましたが、少し、圓生に似ていなくもないですね。『東京かわら版』を読んでも、語りこむのが性にあっているようなので、珍しい噺と共に、シッカリと仕込んだ大ネタも披露して、圓生のようにも成って欲しいと思います。小朝も、ブログでエールを送っていました。
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