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2009.11.03

生きてみよ、ツマラナイと思うけど

小林茂子=小学館
久し振りに涙を流しました。読む人によっては、なんて身勝手な、いい気なもんだと思い、鼻白む思いがする箇所もあるかもしれない。しかし、著者と一つでも共通する体験がある人には、深い悲しみを有する人には、これほど慰められる本はないだろうと思う。
三代目三木助の日記に記された微笑ましい親馬鹿ぶり。あの“名人”三木助がネンネンコ(といってもわからない方が多いかもしれない。あの五木の子守唄の姉やが着ている半纏)を着ている姿を想像できますか? そして、文楽、志ん生の優しさ。そして、なんといっても三木助と兄弟分の小さんの愛情。そして、さらには、志ん朝の思いやり。あるいは、これらのことは、落語関連のあるエピソードとして面白いだけかもしれない。けれども、濃密な姉弟愛、これは、幼い頃に父親を亡くし、母親一人の手で育てられ、身を寄せ合って生きてきた姉弟ならそうなるのも最もだと納得できるし、そういう境遇の方なら、共感も出来るだろう。そして、あるいは、それぞれ病をお持ちの方も共感できる箇所があるかもしれない。そういう意味で、この本は、落語の本というよりも一般の本として広く読まれるのかもしれない。
四代目三木助の告別式の時に、小さんが“盛夫!”と呻いた箇所、三代目三木助が残した日記が、最後は日付が記されたのみで終わっているという箇所は、とめどない涙が流れてきました。
繰り返しますが、今、なんにも災いがなく幸せに生きている方には、この本は無用ですし、不愉快なものかもしれません。しかし、何かしら災いを持っている方には微かながらも生きていく力を与えてくれるかもしれません。
蛇足ながら、著者が小さんのオカミさんから勧められて最初に結婚した相手は立川ぜん馬だそうです。

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