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2009.09.22

江戸演劇史

渡辺保=講談社
今読んでいるこの本に、落語「中村仲藏」に関して、以下のようなことが書かれており、大変参考になった。勿論、このことは、多くの方々にとっては既知の事とは思うが、私自身の備忘録として記しておきたいと思う。
江戸演劇史(下)』(33頁)によると、落語や講談に伝わる仲蔵の苦心談は伝説であり、五代目団十郎が語ったところによると、四代目団十郎が開いていた研究会で、五代目がこの案を出したところ、四代目に“団十郎”がすべきことではないと拒否され、それを、この研究会に出席していた仲蔵がこの事を思い出して、五代目に許可を貰い、その演出で舞台に掛けたというのが真相らしい。
無論、噺としては伝説のほうが面白いが、真相のほうもまた面白い。この本、時代感覚、固有名詞等が頭に大略入るまで最初のうちは読むのに時間がかかるが、しかし、その後は、渡辺さんが意図するように楽しく読める歴史本だ。落語のネタにも少なからずなっている歌舞伎のことを多少なりとも知ることができる好著だと思う。

※追記=中込重明さんの『落語の種あかし』によると(269頁)、“仲蔵が実際の見聞から定九郎の扮装を思いついたことを裏付ける資料もある”そうで、“示唆を受けたという説と、実際の見聞説とは矛盾しない、とみる説もある”そうだ。(2009.10.12)

※読了後の記事

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