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2009.02.11

にっかん飛切落語会(五)

古今亭志ん朝=ANY 「錦の袈裟」「へっつい幽霊」「試し酒」
お目当ての志ん朝から聴く。ここに収録されている演目は、現在市販されているCDにもDVDにも収録されていない。そういう意味では、ファンにとって嬉しい限り。
しかし、なんといっても印象に残ったのは、「試し酒」。これは、芸の善し悪しというよりも、そのマクラが、ある意味で哀しいのだ。まず冒頭で昇太に触れ、“私にもあのような時代があったが、今はもうその元気がない”と語り、そして、こん平の酒の飲み方がいかに乱暴かを語っているのだが、こん平が同じ芝居だとぞっとするという。そして、これまでもこん平は、梅橋と小圓遊の二人の噺家を殺したという。そして、今度は自分が狙われているというのだ。勿論、これは一番の飲み仲間であるこん平のことだからそう遠慮なく言っているのだが、今となっては、ある部分それが事実となっているのだから、このCDを現在聴く私達は、涙なくして聴く事はできない。
また。この高座に聴く志ん朝の声は、あの華やかで艶やかな声ではない。そして、時々、言葉が不明瞭な所もある。そのこともさらに哀しみを増す。
しかしながら、そういうところも窺い知れるこの頃の高座を収録した音源がもっと市販されて欲しいと思うのだが、あるいは、その華やかな志ん朝のイメージを壊さないという意図から、その販売が控えられているのかもしれないとも、邪推したりもするのだが。

錦の袈裟=昭和53年5月25日
へっつい幽霊=昭和60年6月18日
試し酒=平成11年1月25日

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