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2008.11.08

子米朝

桂米團治=ポプラ社
正直、この本の感想を書くつもりはなかったのだけれど、先日放映された米團治の襲名披露口上の様子を観たものだから、ちょっと書いてみようと思った。TVの内容は本に書かれたものと殆ど同じと言ってもよかった。本を読んでいたから、テレビの内容もよく判ったといえるし、テレビを観たから本も面白くなったとも言える。本単独では、さほど面白いとは言えない物足りなさがあった。本で、米團治は、自身のことを盛んに“甘い、甘い”と言っているのだけれど、それは単にテレなのかなとも思われもしたのだが、やはり甘いのかもしれない。その辺の甘いのか、甘くないのかどっちつかずの中途半端さが、本にはあったと思う。テレビを観てその辺の中途半端さが少しはクッキリとしたとも言えるかもしれない。ある意味、TVと本との見事なタイアップなのかな。
ところで、テレビで放映された「百年目」、これは酷かった。なんともバタバタと落ち着かない高座だった。番頭が番頭ではないんですよね。米朝から番頭の格というようなものを教わったとも思うのだが、それが生かされていない。比べるのは酷かもしれないけれど、米團治と大体同じ年齢で口演した『上方落語全集』の「百年目」は、骨格もしっかりしていて、後の物とも違い、力強い若さもある「百年目」。米團治のは、喋っているのは「百年目」だけど、演っているのは「七段目」という感じだった。
しかし、本の中で“関西どないかせんと”と意気込んでいる米團治だから、きっと自身の芸も変わっていくでしょう。

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コメント

私は番頭と遊び仲間の演じわけに難が有るように感じたのですが、主人と番頭の違いは感じたので龍さんの指摘のように風格の出し方が足りないのかもしれません。

米團治自身「アホぼん」キャラクター扱いだったのを承知していてそこからの脱却を目指しているようですので将来に期待して今は辛口で。

投稿: r | 2008.11.09 22:35

コメント、有難うございます。
「百年目」も、そして6日にNHK総合で放送された「青菜」もそうだったのですが、時間の制約があるからかもしれませんが、旦那と植木屋の会話に間がないのですよね。司会の女の子が“(米團治の前に演った)歌之助さんは落ち着いていた”という感想を言ったのに対して、“そうでしょう、私は落ち着きがないですもんね”と言っていました(笑)。しかし、“精進します”とも言っていましたので、私も大いに期待しています。

投稿: 龍→r | 2008.11.10 00:05

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