黒門亭(六月第一週)
◆会場=落語協会
◆日時=2008年6月1日(日)12:00開演
△春風亭朝呂久 「道灌」
◇三遊亭窓輝 「権兵衛狸」
◇橘家仲蔵 「宿屋の富」
仲入
◇ひびきわたる キセル漫談
◇五街道雲助 「つづら」
会場に入ると、高座と客席の最前列との間がいつもより広い。なんでかなと思ったら、色物さんが出演するときはこうするのだろう。
朝呂久、初めて。出だしで言葉に詰まり、どうなることかと思ったが、その後は最後まで快適なテンポ。なかなかふてぶてしい所がいいなぁと思った。協会のHPで調べてみたら、高校を卒業し数年を経て一朝に入門しているようだ。
窓輝も初めて。後に出た仲蔵も言っていたが、なかなかのいい男。袖からのぞく手首も太く、腕っ節も強そう。師匠の圓窓は親でもあるのだが、その圓窓がまた腰を悪くして寄席を休んでいるそうで、その出囃子新曲浦島が聴けないのは寂しいということで、時々、窓輝が使っているそうだ。今日の出囃子も新曲浦島。端正な高座。
仲蔵は、マクラで、黒門亭は夜席に出ることが多かったので、いつも数人の客を前にして喋っていたから、こんなに客が多いと戸惑うみたいなことを言っていたが、まぁ、それは謙遜だろうが、出だしは、ちょっと急ぎすぎの感もあったが、徐々に調子も出てきて、トントンとサゲまで小気味よく進んだ。客席からも、尻上がりに笑いが起こった。
ひびきわたる、見事な膝代わり。ある意味、今日一番笑いをとっていた。四十代の女性に“ストッキングが弛んでいますよ”と言ったら、“私、ストッキングなんて穿いていないわよ”と言われた、というのには笑った。
雲助の「つづら」、今日のお目当て。CDで出ているものを愛聴して、時折に聴くのだが、生で聴きたいものだと思いつつ、なかなかその機会が無かった。今日、マクラで珍しい噺とも言っていたので、寄席でもあまり演る機会も無いのだろうか。また、先代馬生が八代目桂文治から教わったというようななことも言っていた。
今日の高座では、細かな仕種も堪能できた。母親が子供の着物を針で始末する仕種、怒る亭主を止めようとしてその袖を握って離さぬ仕種、等々。
この噺は、雲助のこの方面での資質を端的に示している一席だと思う。
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