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2008.04.06

落語教養高座江戸大百科9

柳家小三治=キング 「時そば」
この「時そば」、存在は知ってはいたが、ソニーでも出てるし手に取ろうとしなかった。しかし、他に目ぼしいものもなかったので借りてみた。聴いてみてビックリ!その速い事!とくに蕎麦屋を騙した男の語り(騙り)の速い事!後から発した言葉が前に発した言葉を追い越そうとするのだから。以前に小三治の「千早振る」に関して、それがカルロス・クライバーを聴くような爽快感があるというようなことを記したが、その比ではない。暫く前にNHKで放映されたパーヴォ・ヤルヴィが指揮したベートーヴェンのようなのだ。疾風怒濤。精気溌剌。
そして、昭和53年録音のこの盤からおよそ15年後の録音となるソニー盤も改めて聴いてみたのだが、やはりキング盤は随分と速い。ソニー盤は聴いていても違和感も全くない通常の速さなのだが、キング盤はとにかく速い。55年録音のグールドの「ゴルトベルク変奏曲」を聴くかのようでもある。そして、ソニー盤に聴くことができる声の錆び(これは否定的な意味ではない)が、キング盤では全く感じられない。現在も聴くことができるこの錆がこのキング盤では全くなくって、ピュアな声質なのだ。そういう意味でも、このキング盤は、小三治が好きな人には、ひとつのメルクマールともなる一枚かもしれない。ま、これは、古くからの小三治ファンには私如きが言わずともよいようなことかもしれません。
しかし、難儀なことに、速いから爽快だから、そっちのほうが面白いかというと、そうでもないんですよねぇ、これが。ほんとに厄介です。
因みに、他に八代三笑亭可楽の「うどん屋」を収録。

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