古今亭志ん生ベスト・コレクション
古今亭志ん生=クラウン 「茶金」「雨の将棋」
不正音源の使用が認められて廃盤になったということから、『志ん生全席 落語事典』からは、その対象外とされている、クラウンから出ていたCDの中には、いわゆる珍品が幾つかある。この「雨の将棋」もそうで、碁ができない将棋好きの志ん生が、「笠碁」を碁から将棋に変えて創ったものだという。また、馬生も、、志ん生から“おれは碁を知らねえから『笠碁』も『碁泥』もできない。仕方がないから『雨の将棋』でやってるけど、この噺は将棋じゃだめなんだ。だから碁を習え”と言われたらしい。
その「雨の将棋」をようやく聴くことができた。志ん生が“この噺は将棋じゃだめなんだ”といった意図がどの辺にあるかは判らないが、しかし、確かに「笠碁」の品というか、静謐さというか、そういうものは感じられないようだ。けれども、志ん生のクスグリ満載の滑稽噺になっている。野球のアナウンサーが“只今、二回の裏”と言った言葉に“居候じゃないんだ”と言ったり、将棋の駒の王の変わりに置いた油虫が股座に入り込むと、“王が、取られないように金の後ろに隠れた”とか。
口調からすると病後の録音のようで、テンポの良さはないが、その面白さは否定できず、廃盤にしてしまうのは惜しいとも思う。
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