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2008.01.20

志ん生全席 落語事典

保田武宏=大和書房
この本の予告が出たときから楽しみにしていて、出版されたら即オンライン書店で購入しようと思っていたのだが、いや、やはり現物を見てからだと思い直し、東京堂書店で立ち読みする。この本、志ん生が残した噺のうち市販されているCD、DVDを演目別、音源別に紹介したものだが、最初の『あくび指南』の項で、この演目のCDも数多く出ているが、音源は①1956年8月5日にNHKで放送されたものと、②1958年7月17日にニッポン放送でオンエアされたものとの二種類で、出来は②のほうが良く、しかも、同じ音源でもポニーキャニオンから出ている「名演大全集」のほうのものは小言指南所のマクラがカットされていて、それがカットされていないのは、一枚物ではすでに廃盤となっているコロムビアの「蔵出しベスト落語」である、と述べられている。いきなり、こう書かれたら、即購入でした。映画ファンも、やはり、ディレクターズカット版が出たら新たに観てみたくなるように、音楽ファンも、フルトヴェングラーの足音入りバイロイトの第九が出たら聴いてみたくなるように(これは、半分冗談です。しかし、最近、フルトヴェングラーのフィギィア付きなんて物まで出ました)、やはり、志ん生ファンなら、マクラも完璧に入った物を聴きたくなるでしょう。また、二番目の『麻のれん』の項では、現在ポニーキャニオンから出ている「名演大全集」では、この演目は収録されていない、と記されている。保田さんは、差別問題に配慮して入れなかったのだろうかと推測されているが、これは、しかしこのポニーキャニオンの以前のシリーズ「名演集」には収録されていたそうである。私のsonicstageに保存している演目を調べてみると確かに『麻のれん』は入っていなかった!早速、「名演集」を図書館で借りてこなければなるまい。
昨日、購入してパラパラと見てみただけなのだが、こんなに刺激的。読むのも勿論面白いが、一読の後は、タイトルにもあるように、また保田さんもまえがきで述べられているように事典としても重宝するだろう。志ん生ファンにとってはバイブルともなる一書と言えるかもしれない。

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