黒門亭一月第三週
◆会場=落語協会
◆日時=2008年1月19日(土)17:30開演
△鈴々舎やえ馬 「道具屋」
◇桂三木男 「ねずみ」
◇隅田川馬石 「夢金」
仲入
◇橘家圓太郎 「強飯の女郎買い」
◇古今亭菊之丞 「二番煎じ」
落語協会へ着くと、すでに十人ほどの人が並んでいた。そして、圓太郎が、何かの取材だろうか、二、三人の美女に囲まれて、和服姿でポーズを決めて写真を撮られていた。
やえ馬は、初めて。声が馬鹿にでかい。よく落語芸術協会の古株の噺家が、客席から笑いが起こらないときなどに、“いいですか、いまの噺、判りましたか?ここまで、ちゃんと着いて来られてますか?”などと言うときがあるが、それは、観客は可笑しくないから笑わないだけなのだ。当の噺家は、本当に自分の噺が理解できていなくて笑わないのだろうと思っているのだろうか?それだったら、認識不足も甚だしい。今日のやえ馬も、盛んに“客席から笑いが起こらない、袖からは少し聞こえるが、真ん中からは全く聞こえない”とぼやいていたが、可笑しくないから笑わないのだ。何故、客が噺家に追従笑いをしなければならないのだ。
三木男も初めて聴いた。祖父が三代目三木助、叔父が四代目三木助。サラブレッドだ。顔立ちも端正で、ややハニカミ王子に似ていなくもない。今日の演目は、ネタだし(と言っても、以前に自分の会で一度演ったことがあるそうだが)で、『ねずみ』。酷な言い方かもしれないが、速記本をただ読んでいるだけのようだった。平板。登場人物も、皆、宿屋の子供に見える。期待しただけに残念。捲土重来を期す。“できれば、他の噺を演りたい”と、冒頭に弱音を吐いていたのも判るような気がする。
馬石。“予報では明日は雪になるかもしれないと言っている”という寒い日にピッタリの演目。そして、馬石の演出もその雰囲気を見事に醸し出す。場内、もちろん暖房は入ってはいるのだが、思わず手を擦り合せ、火鉢の火に手をかざす思い。そして、熊の、娘を舟に乗せるときの仕種、また櫓を漕ぐ仕種なども千両役者と言いたいほど。冒頭の“百両(?)欲しい~”という声は、なにかしら志ん朝にソックリな気がした。志ん朝の旅高座にもよくお供をしていたそうだが、やはり影響はあるのだろうか。
今日は、この後の圓太郎、菊之丞も本当に楽しみにしていたのだが、体調が今ひとつということもあり高座に集中できず、仲入で退席した。菊之丞は『二番煎じ』を演ったそうで、大変残念。
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