吉原手引草
松井今朝子=幻冬舎
この本、直接には落語には関係はないが郭噺を聴く場合には大変に有益な一書。浅草界隈を散策することによっておおよその土地勘が判るように、この本を読むことによって吉原の雰囲気を味わうことが出来る。言葉にもルビが適宜振られているので、その用語の読みも知ることが出来るし、その意味も知ることが出来る。
花魁と寝るために新調する夜具がおよそ五十両、それを敷く手間賃もまた払う。そして、年季が明ける前の根曳きは千両もの金がかかる(だから、皆、年季が明くのを待っているのですね)。また、花魁が見世から頂戴しているのは朝夕のおまんまと行灯の油だけで、部屋の調度から蝋燭代、そして火鉢の炭代に至るまで全て自分持ちだという。それから、田舎侍のことを浅葱裏あるいは新五左と呼ぶとか、そういう諸々のことを知ることができる。あるいは、幇間が言う“若旦那は神馬だ。尾も白えや”という言葉もどこかで使ってみたい。
勿論、物語としての面白さも格別。私が好きなのは女芸者大黒屋鶴次の弁。鶴次が語る、ルームメイトの亀代との仲は、人の淋しさ哀しさがそこはかとなく感じられます。
『仲蔵狂乱』以来久々に読んだ松井さんの本は、やはり面白かった。
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コメント
松井今朝子さんが第137回直木賞を受賞されました。おめでとうございます。
投稿: 龍 | 2007.07.19 20:33