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2007.05.20

噺家の手ぬぐい

五明楼玉の輔=日東書院
これは、好企画の一書。五明楼玉の輔を見直しました。自身の手拭も自らデザインしているのですが、なかなかのセンス。また、300点の手拭に添えている玉の輔のコメントもとても面白く、手拭とそのコメントによって各噺家の有り様の一端が窺がわれる気がします。各々の手拭もきれいに撮れていて、噺家手拭事典としても重宝。
先代の馬生が弟子たちの昇進時に描いた絵の数々が実に素晴らしい。絶筆と思われる駒三の馬、“鷲ですか?”と訊いて“馬鹿野郎、鷹に決まってるだろう”と言われた今松の鷹、雲助の富士を背景にした街道を行く馬と馬子、等々。
噺家の奥様の中には、書家とか陶芸家とか才能を持った方が多いのですね。志ん五の奥様も書家だそうで、志ん公の手拭の文字を書かれているそうですが、黒門亭の額の今川焼という文字、あれも奥様の手になるとか。
川柳川柳の手拭は噺家でも滅多に見られないそうで、つくしは、その日記の中で“もともと作っていないんじゃないか”と言ったような言わなかったような。幻の手拭、青地に大きくかわやなぎせんりゅうと白く抜いた文字。
さん喬は、使いやすいと評判がいい手拭を自身の高座では使っていないそうです。いつも、先代小さんのものを使っているそうです。何か力を与えてくれる気がするからとか。
小三治の手拭は奥様のデザインだそうで、美大出身だそうです。
私が欲しいなと思ったのは、馬石の手拭。山路紋を浅葱色で描いた隅田川を想わせる爽やかなデザイン。
春風亭小朝へのインタビューを読むと、噺家が手拭一つにもどれだけ心を砕いているかが判ります。噺に応じてどんな柄の手拭を選ぶか、女性客の心を掴むためにはどれがいいかとか。小朝は、男性客は眼中にないそうです。
一枚の手拭が出来るまでには幾つもの大変な工程があることを知りました。もう、安易に手拭を頂戴とは言えなくなりました。
あとがきで、この本の正しい使い方として玉の輔は二冊買うことを薦めているのですが、一冊は噺家のサイン用に、一冊は保存用にと。いいアイデアだとは思うのですが、お金に余裕のある方はどうぞ。

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