桂文朝2
桂文朝=ソニー 「居酒屋」「山崎屋」
昨年のこの日も文朝を偲んで、もっと文朝のCDがリリースされればと書いたのだが、その後、ソニーから2枚のCDが出た。これは、そのうちの一枚。
『山崎屋』のマクラでは、あの“月日の経つのは早いものですな。こないだマッカーサーが来たと思ったら、もう八月です。いや、油断も隙もありません”の名文句。この名文句が収録されたことは本当に喜ばしいことです。やはり、文朝のとぼけた味わいは誰にも真似が出来るものではないと、改めて思います。本編の方も、旦那、若旦那、番頭、それぞれの人物造形もしっかりとされていて楽しめる一枚。解説の保田氏によると、文朝は師小南よりも三代目金馬に多くを学び、また圓生の芸風を取り入れたそうだが、なるほど、「居酒屋」を含むこの一枚を聴くと得心の行く話だ。去年、私も言ったことなのだが、保田氏も言及されている東京落語会で予定されていた」百川」を聴けなかったことは、返す返すも残念なことではある。
落語協会のメルマガ2005年一月下席号で、編集者の小袁治が浅草演芸ホールでトリをとる文朝にインタビューをしていると小三治が横から口を出し“文朝さんの梅若礼三郎は良いぞ絶対に良い!”といっているのだが、この噺も是非に聴いてみたかった!また、扇辰が語ってくれたエピソード。ある年の正月の寄席で、文朝は、“ベルリンの壁が壊されたってね”“へぇー”とだけいって高座を降り、満場の客を沸かせたそうだ。その場にいたかった!
保田氏が文朝のCDが一枚きりで終わるのは寂しいと京須氏に話すと取り置きの二席があるとのことで、このCDが出来たそうだが、朝日名人会の第50回で配布された記念のパンフレットにその全50回の演目が記されているが、それを読むと、あと一つ、第35回に「品川心中」を演っている。これは、CD化されないのだろうか?期待したいものである。
しかし、ケース裏の高座写真、まさに文朝である。
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