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2007.04.25

おとしばなし「吉朝庵」その二

桂吉朝=東芝 「たちきり」「つる」
中野翠さんの『よろしく青空』を読む。このシリーズと小林信彦さんの中日新聞のコラムをまとめた本(この本の最新刊はまだ出ないのだろうか?)によって志ん朝の大須演芸場での独演会の模様を窺うことが楽しみであったが、今はそれも叶わない。
『よろしく青空』で、吉朝のことが書かれていた。読者からビデオで撮った「不動坊」「蛸芝居」「河豚鍋」、そして「たちきり」「七段目」のCDが送られてきて、その死を哀惜されていたとのこと。中野さんはそれまで吉朝の噺を聴いたことがなく大変に恐縮されていた。ビデオのほうは、恐らくBS-iで放映された落語研究会での高座だと思う。それは私も録画していたので、再度観る。「蛸芝居」、たしかにその蛸の表情、仕種など面白くはあるのだが、それが過剰に思えて(これは吉朝がということではなく噺自体に)いまひとつ馴染めない。あの鳴物というものにもしっくり来ないものがある(これも当方の馴れの問題だろう)。
しかし、「たちきり」は、以前にも一度聴いて涙したのだが、今回改めて聴いても小糸の哀れさが切々と伝わってきてやはり涙した。若旦那を待ち焦がれる小糸に、活動に行こうと学生さんと約束していながら、それを許されなかった吉永小百合演じる踊子を思い出した。吉朝演じる「たちきり」は、ほかの噺家のものとは肌合いが全然違う。
「つる」は、師米朝が好きな噺だそうで、また、大師匠の米團治も愛していた噺だそうだ。米朝に「つる」を演るというと、“「つる」を馬鹿にしたらいかん。「つる」を笑うものは「つる」に泣く”と言われたとか。また、「つる」には落語のエッセンスが入っているとも言われたそうだ。私も「つる」は好きな噺(文朝のものが好き)だが、はなから鶴の名の由来を聞きに行く型と話の中で何でも知っていると言うから、それじゃ、鶴はなんで、つるというんですかと聞く型と二つあるようだが、この辺はどうなんだろう?
そういえば、吉朝も出囃子は、文朝と同じ外記猿なんですね。

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