落語ファン倶楽部(vol.3)
笑芸人=白夜書房
今号での一番の読み物は、特集<そうだ、志ん朝を聴こう!>のなかの立川志の輔の項だった。あるいは、既に他のところで語ったり、書いたりしているのかもしれないが、己の落語人生を志ん朝に、そして談志に即して、赤裸々に語っている。志ん朝の落語は、見事な音楽になっていて誰もが演ってみたいと思わせるもので、志の輔も落研時代には、自身、天才的だったと回顧するほど三回テープを聴けば完璧にマスターし、そのコピー通りに学園祭などでやると大いに受けたらしい。しかし、卒業後、三宅裕司等と開いた落語会で「鰻の幇間」をやり見事に受けなくて、幇間の了見もわからずに演っても、所詮、コピーはコピーでしかないと悟り落語家にはならず就職する。そして、その後、談志落語に出会い、リズムとテンポの他に“考えて笑う”ということを知る。それをまたコピーしようとしたが、難解な譜面のため出来なかったらしい。志ん朝落語とは違う、落語を通じて己を語る談志落語の虜になったという。
それから後のことも種々と語っており、なかなか面白いのだが、それは直接手にとって戴くことにして、いまの志の輔落語に到達するまでの一言では言えないだろう苦労というものの一端を知ることができた。
同じ特集で、林家きくおが語っている、志ん朝がたまの寄席に出る時には前座も精鋭のAチームが編成されるというエピソードは、なるほどと思わせるエピソードだ。ちなみに、きくおは常にBチームだったそうだ。
あと面白いと思ったのは、<若手オールナイト討論 オレたち国宝一門>で、さん生、市馬、喬太郎が鼎談をしているのだが、その冒頭で、さん生が小さんの内弟子時代の一番の思い出として小三太と夜中にこっそりとソープに行ったら、“夢遊病者は寝てる間に塀を乗り越えていろんなところにいっちゃうんだけど、人は誘わない”と翌朝師匠に言われたと語っているのだが、このエピソードは、どこかで小ゑんも言っている。ま、実際、言われたのかもしれないけれど、どうも、よくできたエピソードというものは皆が使い回しているところがあるようだ。例えば、圓丈がよくマクラで使う、入門申込みを往復葉書で送ってきたというエピソードも上方の噺家も使っているのを時々聞いたりする。
今回も付録として付いていた三題噺のCD、今回は昇太が演じているのだが、一つの人情噺として楽しめた。
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