江戸のラヴソング
柳家小菊=ソニー
小菊姐さんのCDを聴きました。寄席での短い出番に飽き足らない小菊ファンの渇を癒す一枚。最後のトラックの『解説文に代えて』で冒頭に“緊張しました”と言っているように、角々が立って、いつもの柔らかさがないかなとも感じましたが寄席ではめったに聴けない唄の数々を堪能しました。この『解説文に代えて』は、大変に参考になります。端唄と小唄の違い。難しい質問で、結局は、端唄の看板を出している人が唄えば端唄であり、小唄の看板を出している人が唄えば小唄である、ということ。三味線を、端唄はバチで弾き、小唄は爪で弾く、ということ。そして、小唄は囁くように小声で唄う、ということ。その伝でいくと、このCDの一曲目の「梅は咲いたか」は、端唄ということですね。私がこれまでこの曲でイメージしていたものは小唄でした。また、サワリという言葉も知ることができ、とても勉強になりました。そして、三味線というものは、人間が関わる部分が多い楽器だから三十年やっても飽きないと(“年がばれちゃう”と言ってましたが)。
寄席でよく聴く「蛙ひょこひょこ」も、スタンダードナンバーということで入っています。師匠である柳家紫朝がよく演っていたそうで、教えを乞うたところ“こんなもの、見台を間にして教えられるか、勝手にやれ”と言われ、独学で習得したそうです。しかし、「二上がり新内」と「淡海節」は元気な頃の師匠にきっちりと教わったそうです。師匠が紫朝だということも恥ずかしながら初めて知り、落語協会のプロフィールを慌てて見た次第。
「都々逸」などのしっとりとした唄もとてもいいですよね。寄席では、なかなか唄えない、勇気を出して唄えばいいんだけど、と仰っています。ホント、たまにはお願いしたいですね。
最後にジャケットの写真に苦言。華やかで艶っぽい実物と違ってちょっと老けて見えるのですが、ほかの写真はなかったのでしょうか?まぁ、それはともかく、観る芸でもあるのですから、将来、DVDでも出して欲しいものです。
ちなみに、太鼓が、志ん輔とクレディットされています。
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