柳家権太楼名演集(2)
柳家権太楼=ポニーキャニオン 「寝床」「抜け雀」
いずれも、<鈴本夏まつり2006>での高座。二席とも、権太楼登場とともに万雷の拍手。「寝床」のマクラは最近よく耳にする、夫婦は同じ趣味を持たない方が良いという話。夫婦でゴルフをしてパー5のホールを嫁さんがラッキーの連続で2オンし“このパットが入るとイーグルよ、これが入ったら死んでもいいわ”と言うと旦那が“OKです”と言ったために、この夫婦は口もきかなくなったというもの。このマクラから客席は笑いモード全開。噺へ入っても客席では終始笑いが絶えない。サゲは志ん生バージョンで、書置きを置いていなくなった番頭が今は北海道で日本から義太夫を無くす会の会長をやっている、と言って“冗談いっちゃぁいけない”とサゲている。
このところ、私は権太楼の噺に笑えなくなっている。パターン化された表情、エーン、ウーンという時折にはいる口調、キンキンとした怒鳴り声。私も中野翠さんの顰にならって床の中で落語を聴くのだが、「抜け雀」では特にこのキンキンとした怒鳴り声があまりにも多くて、とても眠れないし聴いているのが苦痛になってくる。権太楼を聴き始めた当初は、私もこんな面白い落語があるのかと思ったものだが、ちょうどアサヒドライビールを初めて飲んで、その鮮烈な味に感動したものの、次第に濃くも香りも苦味もないその味に飽きたように、権太楼の落語にも笑えなくなっていった。先日もTVで「笠碁」を演っていたのだが、二人の大店の旦那とそのマクラで出てくる縁台将棋をやっている町内のオヤジとの差異が感じられないのだ。
ライナーノートに塚越氏が一文を寄せているのだが、言いたいことが沢山あるようで、ちょっと要点がつかめなかった。このシリーズ全巻に氏の文が載るのだろうか。
しかしながら、現在の落語界の先頭集団を走る噺家達の記録として、このシリーズが長く続くことを心から切望してやまない。
*ビールといえば、今日発売されたキリンの〔THE GOLD〕、泡がとてもクリーミィですね。
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