« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »

2007年2月の14件の記事

2007.02.27

落語の極

テレビ東京(2007.02.22放映)
 ◇瀧川鯉昇「宿屋の富」
   収録=深川江戸資料館

インタビューで、鯉昇のプロとしての噺家の気概をみせてもらった気がする。随分長い間続けている幾つかの落語会では、身辺雑記風のマクラを新たに拵える事を自身に課してきて、集積したそれらのマクラで一時間は場を持たせる事が出来る、との自信を(勿論控え目にだが)鯉昇は語っている。この日の高座でも、よく耳にする“運のいい人、悪い人の”マクラのほかに、初めて聴く小咄をこれでもかと聴かせてくれた。さすが、余裕のマクラである。
この日のネタ、「宿屋の富」の舞台を、鯉昇は湯島天神としているが、地理的に言えば、椙ノ森神社が妥当なところだが、地方の人には、やはり判りにくいから、知名度の高い湯島天神にしているという。これについては志ん朝にも尋ねたが、それでいいんだよとの返事だったとか。ちなみに、志ん朝も志ん生も湯島天神として演じている。しかし、馬生は、椙ノ森神社である。火焔太鼓というものは大きい物だから、風呂敷に包んで運べる代物ではないんだということで、大八車で運ぶ設定にしたという「火焔太鼓」同様、さすが、馬生の面目躍如である。
志ん朝のCDに付いている榎本滋民さんの解説を読むと、五百両の入った胴巻きを投げ出すと、なじみの女郎が一尺ばかり飛び上がるというクスグリは、“志ん朝の独創”らしいが、このクスグリは鯉昇のものにも入っている。鯉昇は、志ん朝に教わったのだろうか?しかし、一文無しの客の法螺話は、鯉昇のものが桁外れだ。奉公人の数も然り、庭に、富士山、琵琶湖があるというのも然り。さすがは鯉昇と思う所は、何度も何度も籤を確認した後に、“どこが違うんだ!?”という一言。この一言に鯉昇落語のエッセンスがあると思う。
この噺は、上方の「高津の富」を三代目小さんが江戸に移植したそうだが、フーン、それなら、うどんも蕎麦に直せばよかったのに、と思っていたら、それにも榎本さんは、ちゃんと解説している。三代目小さんは、多くの噺を上方から持って来て、“筋・演出をかなり変えたものが多いが、これはすんなりと移したものの方”らしい。小さんと言えば、先代小さんの「宿屋の富」は、ちょっと違っていて、宿主の方から当たったら半分下さいと申し出るし、富が当たり部屋に戻った客は二階ではなく、一階に布団を被って寝る。榎本さんの解説を読むと、七代目可楽から教わった先代小さんのこの演出が、本来の型ということになるのだろうか?
『落語の極』、次回は、「時そば」。そして、『東京かわら版』によると、来月は、三升家小勝、五街道雲助が登場するらしい。

| | コメント (0)

2007.02.26

東京かわら版(平成19年3月号)

東京かわら版
落語は、やはりブームみたいですね。『東京かわら版』の広告を見ても、メディア大手が遅れてはならじとばかりに、落語会を催します。ビクターが「ビクター落語会」を三田で、映像収録も兼ねて開きます。そして、共同通信社が、「東西若手落語家コンペティション2007」なるものを内幸町で開きます。また、文化放送と小学館とが共同で、既に浜松町での会を始めています。ブームのせいで、いろんな会が増えることは選択肢が増えて喜ばしいことなんですけれど、チケットが入手し難くなるというデメリットもあります。最近は、落語研究会なども当日券自体が残り少なくて、並んでも手に入らないことがあるそうです。三、四年前などは、私が早くに並んで待っていたら、係りの人が“そんなに早く並ばなくても大丈夫ですよ。早く並ばないといけないようになってくれればいいんですけどね”とこぼしていたものです。
今月号の巻頭インタビューは、談志です。先日のTVといい、メディアでの露出が最近多いと思うのは気のせいですかね。読んでの感想は、そのTVを観た時と変わりません。先代文楽が落語研究会で絶句して、途中で高座を降りた時の次の出番が談志だった、ということは初めて知りました。
渡邉阿Qさんのコラムは好きで必ず読むのですが、最近は輪番制になっていて少々物足りません。今回は、襲名のことに触れています。渡邉さんは小朝の名は出してはいませんが、やはり、巷で囁かれている小朝の志ん生襲名というウワサは、本当なのでしょうか?

| | コメント (0)

2007.02.25

寝ずの番

マキノ雅彦=光和インターナショナル
この映画、観る前は、カンカンノウがクライマックス、或いは大団円と思っていたが、そうではないんですね。カンカンノウのあとに小エピソードが幾つも続くんですね。たしかに、“トタンの屋根”の唄で終わるのもシンミリしていて悪くはないんだけれども、ちょっと物足りない。可笑しゅうてやがて哀しき、の哀しい部分はある程度、描けていると思うが、可笑しさの部分が物足りない。演者の笑いも弾けた笑いではない。やはり、カンカンノウを最後に持ってきて、突き抜けた笑いを提供してほしかった。
富司純子の色気は、相変わらずです。中井貴一の声の良さにビックリ!ただ、堺正章は、ミスキャストでは?あのキャスティングの中で、ちょっと浮いてたように感じました。それに、艶唄(?)が、エンエンと続くのもやや興醒め。
ところで、笹野高史演じる橋次が読んでいた志ん生の本、あのカバーの本は見たことがないのだが、実在する本なのでしょうか?また、その本に書かれてあるという、志ん生が馬生にお前は大きなヤカンの大器晩成型なんだと言ったというのも事実なんでしょうか?それとも、映画の中の創作なんでしょうか?御存知の方、御教示くだされば幸いです。

| | コメント (0)

2007.02.22

喬太郎落語秘宝館2

柳家喬太郎=ワザオギ 「白日の約束」「結石移動症」
一席目の「白日の約束」は、冒頭から客席の大きな笑いが絶えない。マクラの川柳川柳ネタが受けまくっている。その前に上がったつくしが、師匠の川柳を題材とした新作を演ったのを聴いて、素晴らしい一門だ、とても私は、自分の師匠さん喬を“飼っている”などとは、口が裂けても言えない、また、販売されているCDのなかで、高座の途中で川柳が“おい、アンちゃん、水持って来てくれ”と言っているが、そう言われて水を持って行ったのが、当時、前座だった喬太郎だとか、等々。喬太郎も乗りまくっている。噺家と客とがまさに一体となった高座。ライナーノートの喬太郎の言によると、この噺、白日とホワイトデーとを掛けてあるそうだ。だから、これは、ホワイトデーを題材とした噺。ところが、実は、浅野内匠守と関係があるのだった。まぁ、あとは聴いてのお楽しみ、というところか。
二席目の「結石移動症」は、一席目ほどには、笑いが多くはない。やはり、客種の違いか?主人公のケンちゃんに石ができて苦しむのを、針医の堀田が、見事に石を出すことに成功するというもの(勿論、これだけではないですよ)。そう、『ハリー・ポッター/賢者の石』なのだ。このCD(だったか、或いはか、別館だったか定かではないが)が出たとき、どこかに載った評があまり芳しいものではなかったように記憶する。こういう内容のものをCDにすべきだろうかというような。しかし、寄席で初めて喬太郎を聴いて、そのあまりの面白さに驚いたものだった。このCDも然りです。

| | コメント (0)

2007.02.21

立川談志・71歳の反逆児

NHKBShi(2007.02.20放映)
この番組、ドキュメントとして楽しんだ。談志が噺を抜くということは、これまでもあったのではなかろうか(「芝浜」ではなかったとしても)?ただ、この事態が老いという事象にマッチした談志の今の有り様ということで、このドキュメントは始まったのではなかろうか?老いを前に周章狼狽し、いろんな言葉を吐く自分を気障だ、みっともないと談志は承知している。それこそ、業として肯定すればいいじゃないかとも。しかし、また、こういう姿も賛否分かれるのであろう。曝け出す姿をよしとする者もあれば、いや、多くの人が、こういう場合何も言わず耐えて生きているんだと言う者もあろう。
太田光が、談志の落語はセックスと同じだと言っている。一瞬のエクスタシーのために、じっと聴いていると。私は、ビデオで或いはCDでしか聴いたことがないので、その辺はよく判らないが、しかし、それらは擬音、擬態が頻出するものだった。そういう落語だから、談志が嘆く、笑うべきでないところで笑う観客が現われるのではなかろうか。そして談志は自身言うところの笑われ屋となる。
『談志百席』が図書館にあったので、以前、聴いてみた。その何枚かを聴いて、あとは聴かなかった。本を読んでいるかのようだった。この番組で、そのCDの録音の様子を映していたが、やはり、チラチラ原稿を読みながらのものだった。納得した次第である。
貴重な映像もあった。談志が小ゑん時代の映像で、『反対俥』を演っている。いわゆる談志を髣髴させる映像だ。また、最近の高座の模様でほんの少し流された『鼠穴』、これは全編聴いてみたいとも思った。
全く関係ないことだが、太田光は談志の若い時になんとなく似ているような気がするのだが。いかがでしょうか?

| | コメント (0)

2007.02.19

滝田ゆう落語劇場

滝田ゆう=ちくま文庫
滝田ゆうの漫画を見るのは、本当に何年ぶりだろう!『寺島町奇譚』以来か?今、ちくま文庫が落語文庫と銘打った帯を巻いて、フェアをやっているもののうちの一冊。
この本、入門書としても、なかなか良いのではないでしょうか?全38篇の演目の大略が手際よく描かれているし、描かれている絵も、各々の噺の世界の雰囲気をよく醸し出している。例えば、「明烏」で、烏がアー、アーと鳴いて夜が明けた郭の廊下を描いた一コマ(462頁)。また、言葉の意味も絵が入っているから、判りやすいですしね。あまた出ている入門書の類の中でも一番に推したい。
「紙入れ」のオチは、“女房を寝取られても気が付かない、そんな亭主の顔が見たいよ”という女房の言葉を受けて、亭主が、“見せてやろうか。それは、こいつだ”と言って、自分の顔を指す、というもの。こんなオチは初めてだから、まさか著者の創作ということもあるまいに、と思いながら、『落語事典』で調べてみたら、このオチは上方のものだとか。いや、勉強になりました。しかしながら、この上方のオチの方が、リアリティがありますね。
そうそう、懐かしいと言えば、吹き出しの中に描かれている一個の絵。それが、何を意味しているか、判るものもあればそうでないものもある。なんともいえない絵です。
滝田ゆうに関して、最近、『ぬけられますか』とい本が出版されている。これも、読んでみようか?

| | コメント (0)

2007.02.16

鈴本演芸場二月中席

◆会場=鈴本演芸場
◆日時=2007年2月16日(金)17:20開演
  ◇柳家喬之助 「真田小僧」
  ◇鏡味仙三郎社中 太神楽曲芸
  ◇柳家さん若 「権助芝居」
  ◇橘家圓太郎 「親子酒」
  ◇柳亭左龍 「のめる」
  ◇大空遊平・かおり 漫才
  ◇古今亭志ん五 「不精床」
  ◇五街道雲助 「壺算」
 仲入
  ◇ホームラン 漫才
  ◇桃月庵白酒 「出来心」
  ◇柳家小菊 粋曲
  ◇柳家さん喬 「百川」

続きを読む "鈴本演芸場二月中席"

| | コメント (0)

2007.02.15

落語の極

テレビ東京(2007.02.15放映)
 ◇春風亭小柳枝「二番煎じ」
   収録=深川江戸資料館(2007.01.11)

小柳枝も、好きな噺家の一人。噺家の匂いがするし、出の形もいいですよね。右手を前に出し、前屈みになりながらの出。
今日の『二番煎じ』、外連味のない本寸法のものと思いました。声もいいし、何度か客席からも中手が起こる。それに仕種も巧みだからいうことはない。この噺の中で、“猪が二つ玉に驚いておとなしくなる”というクスグリがあるのだけれど、これを言う噺家と言わない噺家があるが、流派による型の違いなのだろうか?それとも単なる時間とかの問題?前回、『文七元結』の時は、やや緊張しているかにも見えたが、今回は、本題に入ってからは流麗な運びだった。
この番組、たっぷりと聴かせてくれるのはいいのだが、なかには時間を持て余して徒にマクラを長くする演者もいて退屈に感じる向きもあったが、今回の小柳枝のマクラ、なかなか為にもなり振袖火事の謂れなど、とても勉強になりました。
気になることが一つ。最後のオチのところでクレディットが流れるのだけれど、あれはせわしない感じがして、とても興がそがれるので止めて欲しいと思う。なんとかならないでしょうか?
余談だが、前回、小柳枝がウクレレを弾きながら「若者たち」を唄ったのだが、これがとても良かった!小柳枝の人柄も窺える一遍の人情噺のようでありました。
来週は、瀧川鯉昇が登場。これも楽しみ。演題は何かしら?

*この番組の収録日時は空飛ぶ!気まぐれ雑記帳様からの転載です。有難うございます。

| | コメント (0)

2007.02.14

名人 志ん生、そして志ん朝

小林信彦=文春文庫
再読。2003年に朝日選書から出版されたものを読んでいたのだが、ほとんど覚えていなかった。しかし、読み進むと、この本を読んでから足繁く寄席に通うようになったことが思い出される。志ん朝を亡くした著者の喪失感が私にも伝わり、今、小三治を聴いておかないと、という衝動にかられたのだ。そして、そのお陰で、文朝を、さん喬を、雲助を識ることが出来た。
志ん朝の「寝床」について、現在、CDで出ているものは文楽型だが、TBSで放映されたものは、抱腹絶倒の志ん生型で、このほうが私は好きだ、という著者の言及について、<落語の蔵>のブログに松本尚久さんが、このことを指摘し、これからはジャズのように落語も別テイクを楽しむということがあってもいいのではないかというようなことを言っているのだが、なるほどと思った。この「寝床」、そして「中村仲蔵」、是非、聴いて、観たいものだ。
聴きたかった高座といえば、1981年4月の紀伊國屋寄席での馬生の「ずっこけ」。馬生が亡くなる前の年だが、“あれはすごかった”“打ちのめされた”と著者が激賞している。その馬生が若い頃からつけていた日記があったそうで、“本人の希望で”夫人が読まずに焼却したそうだが、これなどは一ファンとしては読みたかったし、存在すれば資料的価値は相当なものとなっただろう。
そういうわけでありまして、この本、再読した価値のある本でした。
そうそう、第四章<落語・言葉・漱石>を読んで『吾輩は猫である』も当時再読したことをも思い出しました。そして、『SWITCH』(1994年1月号)を捜し求めて叶わなかったことも。
『三人噺』もまた読みたくなった。

| | コメント (0)

2007.02.11

快楽亭ブラックの放送禁止落語大全2

快楽亭ブラック=洋泉社
前作1を読んでいたから、前作ほどの衝撃はないが、その内容の凄まじさは相変わらず半端ではない。たとえイニシャルであっても書くのが憚れるほどだ。それを全て実名で書いてある。空恐ろしくなる。あとがきにあるように、ブラックは、政府、皇室、創価学会、北朝鮮、落語立川流、これらがみんな嫌いで、からかいたくなるのだ。それは、前作を凌ぐ。腕が自慢の鮨屋の大将から、マスコミでも評判だという河豚の白子の軍艦巻きを出されて、それに名前を付けてくれと言われ、“バリウムうんこ巻き”と応えて、カンカンに怒らせたという態のものだ。とにかく、読んでみて下さい、というより他はない。
川柳川柳が唄う『涙の連絡船』の替え歌『涙の円楽さん』というものがあるそうで、それは巷間ブラック作詞と伝えられているそうだが、じつは“吉川潮大先生”の作だとか。吉川氏、意外とオチャメなんですね。この歌、ぜひ聴いてみたい。
今回は、写真も豊富で、若き日のブラックも観る事ができる。談志や三平とのツーショットなど初めて観ました。
付録のCDも前回同様、あの柔らかい声質で楽しく聞かせてくれます。

| | コメント (0)

2007.02.09

お台場寄席

フジテレビ(2007.02.08配信)
“つかちゃん”という方が担当になってから、落語の前と後に言わずもがなのコメントが付くようになった。コマーシャルも入れて、正味2分ほどの長さ。割合から言えば、Gyaoの本編の前に入る長~いコマーシャルとそう変わらない。そのコメントのおかげで、HDDの容量も目減りすることになる。どうか、当初のように、簡潔に“フジポット、お台場寄席”とまったりとした口調で始まるあのスタイルに戻って欲しいものだ。
圓太郎は、好きな噺家で、いつだったか落語研究会で演った「甲府い」は、人情噺としての「甲府い」として再認識した次第。また、「棒鱈」に出てくる田舎侍とか、この「試し酒」の久造のような田舎者を演じても独特の風情がある。もっと聴きたい噺家だ。

| | コメント (2)

2007.02.07

金原亭馬生名演集(一)

金原亭馬生=コロムビア 「笠碁」「文違い」
ポリドールから出ている『NHK落語名人選 (23)』と同一演目である。このCD、すでに所有しているので、迷ったが結局購入した。「笠碁」は、ほとんど内容に変わりはない。細かな所もほとんど同じである。ただ、両方共に“一日に三十番指す”と言っているのだが、DVD『古典落語名作選・其の四』では、“五十番指す”と言っている。それ以外は、こちらも内容的には殆ど変わりはない。しかし、CDでは判らない馬生の豊かな表情を、このDVDでは観ることができる。好きな演目なのだが、落ちがいまひとつ良く判らない。しずくが垂れていて、それを拭きながら“まだ笠を被っている”というのが、どういう落ちなのかもうひとつピンと来ないのだ。御存知の方、御教示下さい。
「文違い」の方も、内容はほとんど同じ。ただ、冒頭で“三日連続の独演会”と語っていて、この「文違い」はその初日に収録されたもの。ちなみにこのシリーズの「お富与三郎」は、その最終日に収録されたもの。解説の保田武宏氏によると新宿を舞台とした郭噺は、この「文違い」と「縮みあがり」と二つしかないそうで、以前に文治がよく演っていたという「縮みあがり」のほうは、もう演り手もなく今は「文違い」のみが残っているそうだ。「縮みあがり」、聴いてみたいものだが。志ん朝の「文違い」も聴いてみたいが、音源はないようですね。

| | コメント (0)

2007.02.04

芸能鑑定帖

吉川潮=牧野出版
―あとがきに代えて―で、著者自身が言っているように、“立川流が嫌いな人は読まないほうがいいかも知れない”。しかし、それは、はじめに言って欲しかった。そして、著者自身はそうではないと言っているが、やはり、これは仲間褒め、自分褒めの本のようだ。また、著者になつくものには、その評価は甘い。林家きくおに関する項は、読んでいて気持ちが悪くなる。快楽亭ブラックともいろいろあったようだが、そのブラックの件で世話になったから一席設けたいとの申し出が文字助からあり、出かけるとはじめのうちは気持ちよく飲んでいたが、次第に様子がおかしくなり絡み口調になったとか。文字助がどのように絡んだのかわからないので想像するしかない。最後に、三太楼事件についても触れているが、当時、我々外野席には細かなことがなにも判らずもどかしいものがあった。しかし今にして思えば、その箝口令の徹底振りは見事であった。ブラックが満座の中で笑いものにされたのとは大違いだ。
しかし、逆に言えば、立川流が好きな人には、この本はこたえられない本であろう。談志のエピソードはやはり面白いですしね。

| | コメント (0)

2007.02.02

サライ(Vol.19 No.4)

小学館
『サライ』が、<落語完全ガイド>と銘打って落語の大型特集を組んでいる。付録として、CDも付いている。その内容は、金馬「やかん」、小さん「長屋の花見」、松鶴「ひとり酒盛り」、そして、もう一つの特集が<般若心経>だから、その読経も。これまでも、『落語ワンダーランド』をはじめとして種々のMOOKが出ていて、それらのものと重複するところもあるのだが、それらがどちらかというと若者向けに編集されており、こちらは熟年向けに編集されているせいか馴染み易い。また、目次に<落語再入門>とも謳っているように改めて知ったこと、初めて知ったことなど幾つかある。たとえば、五街道雲助(格好いいです!)が写真入で解説している仕草、衣装などの項で、“太い縞の着物は滑稽噺向き、細い地味な縞は商人の噺の時に着る”ということなど。師匠の馬生に教わった事なども交えたその芸談は、なるほどと思わせる。
写真も豊富に載っているのだが、おそらく多くのものはこれまでもどこかで掲載されていたものだろうけれども、当方が初めて見るもので傑作だったのは、志ん生が長女の美津子さんに耳掃除をしてもらっている写真。志ん生の表情がとにかく面白い!大いに笑った。
これから、じっくり目を通すとしましょう。

*追記:米丸の、師匠今輔の思い出話は涙なしには読めません。

| | コメント (0)

« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »