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2006年3月の13件の記事

2006.03.31

文人たちの寄席

矢野誠一=文春文庫
中野翠さんの『甘茶日記』にお勧めの本として出ていたので読む。
Ⅰ文人たちの寄席とⅡ名作の中の藝能と二つの項目があるのだが、Ⅰを面白く読んだ。
色川武大の項で、『寄席放浪記』の中の次のような文を引用している。

たくさん出演者が出てきても、本当にいい高座は一夜に一つあるかなしかで、大部分は辛抱して聴かなければならない。退屈な寄席というものは、相当に苦痛で、居ても立ってもいられない。なぜ自分は貴重な時間をこんなところで過ごしているか、と思う。ところがそこに中毒してくると、まさにその退屈を味わいにきているので、そこが賓沢な遊びだということになるのだ。

当方も全く同感だと思う。ただし、色川さんみたいに中毒するところまでは無論行っていない。そこまでの境地に達するまでは、やはり、お金も随分と掛かるだろうし。
でも、そうして本当にいい高座に出会ったときの喜びは大きい。
もう一つ、小泉信三の項での志ん生との関わりを述べているところは、涙なしでは読めない。
ただ、Ⅱは、ちょっと物足りなかった。各社が出している文庫本の解説のような感じ。

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落語研究会(第453回)

◆会場=国立劇場(小劇場)
◆日時=2006年3月31日(月)18:30開演
  ◇立川志の吉 「子ほめ」
  ◇柳家花緑 「片棒」
  ◇柳家三語楼 「魂の入替」
 仲入
  ◇柳亭市馬 「雛鍔」
  ◇柳家小三治 「出来心」

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2006.03.29

落語笑笑散歩(第一巻)

柳家喬太郎/入船亭扇辰=ソニー
◎本編映像
 お江戸下町ぶらり散歩
◎特典映像(2005.09.23池袋演芸場<扇辰・喬太郎の会>収録)
 柳家喬太郎 「粗忽長屋」
 入船亭扇辰 「目黒のさんま」
 柳家喬太郎 「時そば」
特典映像となっているので、まさかダイジェストで収録されていないだろうかと危惧したが、キッチリと収録されていた。
喬太郎の「粗忽長屋」、例のごとく、噺の途中に注釈と言うか説明と言うか、脱線しながら進むのだが、これが面白いのですね。喬太郎の場合。
「時そば」、自分でも“この蕎麦を食べるところはDVDに残したくない、仲間に見られたくない”などと言っているが、確かにそれほど巧みではないね。単調でした。それに比べて昨日のさん喬の「時そば」、その上手いことと言ったら!蕎麦が本当に旨そうだった!うしろにいた御婦人連も仲入に“蕎麦を食べたくなった、お腹が減った”と言っていた。
扇辰の「目黒のさんま」、型を外しすぎじゃないのか?
本編の映像もなかなか楽しめました。冒頭、末広亭の楽屋も見られたし、高座から客席を見るという貴重な映像もあったし。
買って損はなかったと思います。勿論、も少し安ければそれに越したことはないけれども。

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2006.03.28

鈴本演芸場三月下席

◎真打昇進披露興行
◆会場=鈴本演芸場
◆日時=2006年3月28日(火)17:20開演
  △柳亭こみち 「やかん」
  ◇柳家三之助 「初天神」
  ◇三増紋之助 曲独楽
  ◇金原亭馬生 「よっぱらい(替り目)」+夜桜
  ◇柳家権太楼 「つる」+奴さん
  ◇あしたひろし・順子 漫才
  ◇三遊亭圓歌 「中沢家の人々」
  ◇柳家さん喬 「時そば」
  ◇鈴々舎馬風 漫談
 仲入
  ◇真打昇進披露口上=さん喬、権太楼、三三、小三治、馬風、圓歌
  ◇翁家和楽社中 太神楽曲芸
  ◇柳家小三治 「小言念仏」
  ◇柳家喬太郎 「母恋いクラゲ」
  ◇林家正楽 紙切
  ◇柳家三三 「長屋の花見」

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2006.03.25

きく知る落語

JTBパブリッシング
まぁ、やはり大筋では既出の『落語ワンダーランド』『みんなの落語』と相似。その原因はそのいずれにも瀧口雅仁とかいう人が関わっているからだろう。でも、どうしてこの手の本には必ず着物を着て寄席に行こうとかいう特集が組まれるのだろうか?
ただ、このMOOKは、さん喬と喬太郎の師弟対談、そして、上方落語の特集記事、この二つは素晴らしかった。読み応え充分でした。特に、次のような箇所のさん喬の言葉は芸談として記憶に残るものです。

さん喬 自分の中では「棒鱈」をやって一つ上へいけて、「井戸の茶碗」をやって、また一つというものですね。それに「井戸の茶碗」は志ん朝師匠のを聴いて、噺家になりたいと思ったきっかけの噺ですから。ある時、さん喬の「井戸の茶碗」はいいけど、女が出過ぎるって言われたことがあって、それで「勝った!」と思ったの。だって、あすこの娘はひと言しかいわないんだから。

一昨年、さん喬の「井戸の茶碗」を朝日名人会で聴いて涙が止まりませんでした。この話を聞くとそれも頷けます。

*蛇足ながら、42頁の一段目のさん喬の発言のなかの“うん。うちの師匠(八代目桂文楽)だったり”とあるのは誤植でしょうね。
*柳家三太楼が師匠と喧嘩して破門されたとのことだが、真偽の程はどうなんだろう?

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2006.03.16

五代目古今亭志ん生名演大全集2

古今亭志ん生=ポニーキャニオン 「火焔太鼓」「搗屋幸兵衛」「たぬさい」他
『落語CD&DVD名盤案内』に「狸賽」の項で、草柳さんの面白い評があったのでまた聴く。
下記のような評。

本人が気乗りしないときを代表するような高座の記録になっている。そんなときの志ん生をぜひ聞いてみたいという人向き。

そう言われると聞いてみたい。聞いてみると、たしかに一本調子。浮き立つようなリズムがない。しかし、そんな高座まで記録になり、評の対象になるのだから大したものです、志ん生は。
他に「一眼国」収録。

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2006.03.15

ビクター落語五代目古今亭志ん生(1)

古今亭志ん生=ビクター 「火焔太鼓」「品川心中」「鮑のし」
『落語CD&DVD名盤案内』で草柳さんが絶賛しているので早速聴きました。このシリーズ、大半は病後の録音のようだけれども、この巻は三席ともに病前の録音。「鮑のし」は確かに面白い!冒頭の“落とし噺というものは高いところから物がヒュッと落ちる”というようなことを言って、“ヘッヘエー”と笑うのがなんともいえない。なにかイタズラ小僧のようで愛嬌がある。サゲまでは行かずケツをまくる(事情があってまくれない)で、終わっているんだけれど、クスグリも満載で本当に楽しい一席。
しかし、「品川心中」では、これも冒頭、志ん生が“大変この”と言っただけでクスクスと笑いが起こり、続けて“夏らしくなりましたな”と言ってワハハと大きな笑いが起こる。凄いものです。
あと「火焔太鼓」を収録。

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2006.03.13

落語CD&DVD名盤案内

矢野誠一・草柳俊一=だいわ文庫
奥付の前の頁にこの本は書下ろしです、とあったのだが、すでに所有している『落語手帖』(矢野誠一=講談社α文庫)とほとんど同じ。よくみたら、凡例に“「あらすじと落ち」「参考」「落語家のことば」は『落語手帖』(駸々堂)を底本とし加筆・訂正した”とあった。とにかく全くといっていいほどに同じなのに書下ろしと言うのは、ちょっと語弊があるのではなかろうか? まぁ、CD&DVDの案内が面白そうなのでよしとしようか。でも、京須さんにしても草柳さんにしても、自身が録音した盤が優先されるのは止むを得ないか。

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2006.03.10

寄席はるあき

安藤鶴夫=河出文庫
安藤鶴夫の本、初めて読んだ。その読点の多さにビックリ。そして、かなが多い。たとえば冒頭の一文。

 ちかごろ、めっきり、寄席の客に、若いひとがふえた。
 とくに、女のひとの多いのには、びっくりする。つとめのかえりに、ビアガーデンで、若い女性が、ジョッキーを手にするのと、なんだか、つながりのあることのように、思われる。

上記の文など、いまの状況にもちょっと当てはまるかな。
この本では、志ん生の出囃子、一調入りと書いているけれど、一丁入りとどっちがホントなんだろう? どちらでも良いのかしら?
志ん生の復活と題した文で、志ん生が、医者もいいと言ったから“盆の十五日に酒びらきをやる”と宣言し、しかし、すぐにオカミさんと娘さんに窘められる。思わず泣き笑いするところです。
この本、写真(金子圭三)も豊富。往時をしのばせてどれも楽しいが、掉尾を飾る松鶴、米朝、春団治がいずれも若々しい!

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2006.03.09

みんなの落語

学研
昨年一月に発行された『落語ワンダーランド』になんとなく似てるな、と思った。
表紙は色は違うけれど、雰囲気がなんとなく同じような感じだし、
タイトルの書体も仔細に見れば違うけれど、パット見た感じはソックリ。
中身も、その構成からしてソックリ。
入門者用というコンセプトでやると、どうしてもそうなっちゃうのだろうか?
そして、柳家権太楼一門のコーナーでの写真は、これも昨年の『リンカラン』という雑誌の特集に使用されてたものと似たような写真が並んでいる。記事も同じような感じ。
個人的には、充実度は『落語ワンダーランド』に軍配をあげたい。
ただ、堀井憲一郎の項で言及されている入船亭扇辰の啖呵、聞いてみたかった。
また、落語のあらすじを解説しているコーナーで虎&龍のマークがあるのがなんとなく可笑しい。

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2006.03.06

決定版五代目柳家小さん落語名演集

柳家小さん=竹書房 「千早振る」「宿屋の仇討」
DISCASに注文したのは『柳家小さん落語名人集「睨み返し」「意地くらべ」』なんだけど、先方のミスでこのDVDが到着。何度か聴いた演目だけれども、まぁ、とりあえず観るとしよう。観客なしで、末広亭を模したような高座で収録。どこかのスタジオなのかな?笑いも拍手も一切なし。
小さんの噺はボソボソといった感じで聴き始めは面白くない、判らない、しかし、何度か聴いてその良さが判る、と小三治もどこかで言ってたけれど、遅れてきた落語聴きたる当方は、それも止むなしというところかな。クスグリもまったく入ってないしねぇ。おそらく、小さんの芸を後世に正しく残そうという意図なんだろう。
構成・監修が、落語三遊派宗家・藤浦敦となっていた。そういう人がいたんだ。初めて知った。
けれども、このタイトル、もっと短くなんないのかなぁ。

*調べてみると、収録は日活撮影所で行われたらしい。

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2006.03.05

今夜も落語で眠りたい

中野翠=文春新書
中野さんの本は、『ウテナさん祝電です』以来、出版されると必ず読んでいるのだけれど、その中野さんが落語について書いたというのだから、すぐに買って読みました。最近の落語ブームとやらに乗って幾種類もの落語入門書みたいなものが出ているけれど、そのなかで、この本が一番ではないでしょうか?素人としてのスタンスを保って自分の落語享受史を語っています。佐平次は、「付き馬」や「鰻の幇間」の登場人物とも同一人物なのではないのかとか、山口百恵は現代の幾代太夫であるとかいう指摘は、とても共感できます。

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2006.03.01

落語研究会(第452回)

◆会場=国立劇場(小劇場)
◆日時=2006年3月1日(月)18:30開演
  ◇春風亭朝也 「湯屋番」
  ◇林家彦いち 「お見立て」
  ◇入船亭扇遊 「花見の仇討」
 仲入
  ◇柳家三太楼 「天狗裁き」
  ◇立川志の輔 「新版 蜆売り」

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